第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
アリアネはそう言われて、渋々と競技場へと戻った。
何故黒犬がいたのか不思議ではあったが、スネイプの言う通りにしなければ後が面倒なのでと戻ればロンが興奮して叫んでいるのが見えた。
ふと、アリアネの視線の先に黒い影が見えた。
頭巾を被った3つの背の高い黒い姿がハリーを見上げているのだ。
「吸魂鬼……!?」
アリアネがそう叫んだ時である。
ハリーはユニフォームの首の所に手を突っ込んで、杖を取り出して叫んだ。
「エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)!」
ハリーが叫んぶと、白金色の物が杖の先から飛び出して吸魂鬼を直撃した。
そしてハリーはスニッチを手にして、それを見たフーチがホイッスルを鳴らす。
試合終了のホイッスルが鳴り、ハリーが地面に着地した瞬間彼はチームメイトに抱きつかれていた。
「すごいよハリー!行こう!アリアネ!」
「え、わっあ!!」
アリアネはロンに引っ張られてピッチに飛び降りた。
そして2人を先頭にして、グリフィンドール応援団もピッチに飛び込んでいく。
「ハリー!凄かったわ!凄いわ!」
「いぇーい!」
「よくやってくれた、ハリー!」
「よかったなぁ、ハリー!」
「てーしたもんだ!」
そこにはハグリッドもいて、ハリーを褒め称える。
そしてリーマスの姿もあった。
「立派な守護霊だったよ」
「そうよ!ハリー、ちゃんとできていたわ!」
「そうだろう!アリアネ!先生、僕、吸魂鬼の影響はまったくありませんでした!僕、平気でした!」
ハリーの言葉を聞いたリーマスの表情は、混乱したような嬉しそうな複雑そうな表情を浮かべていた。
「それは、実はあいつらは、ウム。吸魂鬼じゃなかったんだ」
「え?吸魂鬼じゃなかったの?」
「来て見てごらん」
リーマスはハリーとアリアネを連れて人垣から、ピッチの端が見える所まで案内した。
「君はマルフォイ君をずいぶん怖がらせたようだよ」
「ま、マルフォイ!?」
そこにはマルフォイとクラッブとゴイル、数人のスリザリン・チームの人間が折り重なるように地面に転がっていたのだ。
頭巾のついた黒いローブを脱ごうとして慌ただしくしていて、マルフォイはゴイルに肩車されたいたらしい。
そんな彼らの目の前に憤怒の形相をしたマクゴナガルが立っていた。