第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「どうかしたのかい?」
ふと、声をかけられてアリアネは顔を後ろへと振り向かせるとそこには笑みを浮かべたリーマスが立っていた。
「ちょっと、ね……」
「ハリー達は盛り上がっているね。今日はクィディッチの試合だし」
「ファイアボルトがあるから余計に盛り上がってるわよ」
リーマスは楽しげに盛り上がっているハリー達を見ながら、慈しむような眼差しを向けていた。
それからアリアネの隣に腰掛けると、コーンフレークへと手を伸ばす。
「ここで食べるの?」
「たまには生徒に混じって食べるのも良いと思ってね。それに、君が何か悩んでいる様子だから」
「……ハーマイオニーと喧嘩してるの」
その言葉にリーマスは目を見開かせたが苦笑を浮かべる。
「友人というのは時に喧嘩もするものさ。私だってウィリアスとヘレンと喧嘩したことだってある」
「そうなの?」
「ああ。だからそう落ち込まなくていいさ。だけど早く仲直りしたほうがいい。こじれる前に」
「うん……」
ポンッとリーマスは彼女の頭を手を置いてから、優しく撫でてやった。
その手の温もりにアリアネは目を細めながらも、ハーマイオニーへと視線を向ける。
仲直りがしたい。
だがハーマイオニーがまた怒ったり、『放っておいて』と言ったらどうしようか。
そう悩みながら朝食時間を過ごしていった。
11時15分。
グリフィンドール対レイブンクローの試合が始まる。
アリアネはロンと共に1番よく見える観客先を陣取りながらピッチを見つめる。
「あ、来た!」
「ハリー!頑張れー!!」
ピッチにグリフィンドールチームとレイブンクローチーム達が出てくると、ピッチに割れるような拍手が湧き上がった。
「あ!チョウ・チャンだ」
「誰なの?」
「レイブンクローの唯一の女の選手で、ハリーと同じシーカーだよ」
「へえ!とても綺麗な人ね」
「美人でも有名な人だよ」
チョウ・チャンはアリアネと背が同じくらいの美しい顔付きの女性だった。
レイブンクロー唯一の女性メンバーということで、アリアネは凄いなと感心する。
「ウッド、デイビース、握手して」
互いのチームのキャプテンが握手をする。
その際に観客先の生徒達が息を飲むのがわかった。
「箒に乗って……ホイッスルの合図を待って……さーん、にー、いちっ!」