第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
そうして、ハーマイオニーはアリアネとハリーとロンとは会話をしようとはしなかった。
4人の友情にヒビが入った瞬間でもあった。
ロンはというとスキャバーズを失い、心底打ちのめされていて、アリアネとハリーは何とか励まそうとしていたが落ち込みは酷くなる一方。
「元気出せ、ロン。スキャバーズなんてつまらないらやつだっね、いつも言ってたじゃないか」
フレッドは弟を元気づけようとしていたが、それが逆効果であった。
「それに、ここんとこずっと弱ってきてた。一度にパッといっちまったほうが良かったかもしれないぜ。パクッ。きっと何も感じなかったさ」
「フレッドったら!」
「なんてこと言うのよ!」
フレッドの言葉にアリアネとジニーは憤慨した。
だがそれを気にせずにジョージが言葉を続ける。
「あいつは食って寝ることしか知らないって、ロン、どえそう言ってたじゃないか」
「僕たちのために、一度ゴイルに噛み付いた!覚えてるよね、ハリー、アリアネ?」
「うん、そうだったね」
「ちゃんと覚えてるわ」
「やつのもっとも華やかなりしころだな」
「フレッド!」
アリアネに睨まれたフレッドは肩を竦めながらも、言葉を止める気はサラサラなかった。
「ゴイルの指に残りし傷跡よ、スキャバーズの想い出と共に永遠となれ。さあ、さあ、ロン、ホグズミードに行って、新しいネズミを買えよ。めそめそしてて何になる?」
「取りあえず、あまり落ち込まないのよロン。そんなに落ち込んでいたら体調を崩しちゃうわ」
「うん……」
なんとかアリアネはロンに元気を出してもらおうとしたが、今はそっとしておくことにしておいた。
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そしてクィディッチ試合日。
ハリーは同室の寮生と共に朝食に降りていくが、アリアネは少し離れた所からそれを見て朝食を食べていた。
「スリザリンの顔、傑作ね」
ハリーの手にしているファイアボルトを見たスリザリンたちは、目を見開かせていた。
その表情に気分をよくさせながら、ちらりとハーマイオニーの方へと視線を向ける。
少し離れたテーブルでハーマイオニーは食事をしていた。
まるで誰も喋りかけないでと言わんばかりの雰囲気にアリアネは溜息を吐き出す。
「どうするべきなのかしらねえ……」