第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
ハリーは晴れ晴れとした表情で呟いた。
「そうだ。僕たち、ハーマイオニーと仲直りしなくちゃ。僕とアリアネのことを思ってやってくれたことなんだから」
「うん、わかった。いま、談話室にいるよ。勉強してるよ」
「私もあのぐらいで怒るんじゃなかったわ。謝らないと……」
3人はグリフィンドール塔へと続く廊下を歩いた。
するとそこにはネビルが半泣き状態で、カドガン卿に何かを必死に頼み込んでいる様子が見える。
どうやら中に入れてもらえないらしい。
「書き留めておいたんだよ。でも、それをどっかに落としちゃったに違いないんだ!」
「下手な作り話だ!」
カドガン卿はそう言ってネビルを入れようとしない。
すると彼はアリアネとハリーとロンに気付くと、明るい声で話しかけてきた。
「今晩は。お若い騎兵のお3人れこの不埒者に足枷を嵌めよ。内なる部屋に推し入ろうと測りし者なり!」
「ネビル、貴方、合言葉忘れたの?」
「書き留めてたけど無くしちゃったの!今週どんな言葉を使うのか、この人に教えて貰ってみんな書いておいたの。だって、どんどん合言葉を変えるんだもの。なのに、メモをどうしたのか、わからなくなっちゃった!」
「無くさないようにしなさいよ……まったく」
ネビルの言葉に3人は呆れたように溜息を吐き出した。
「オヅボディキンズ」
ハリーが合言葉を言うと、カドガン卿は残念無念と言いたげな表情を浮かべながら肖像画を開けて4人を談話室の中へと入れた。
そして談話室に入ると、グリフィンドール生達は一斉にハリーへと群がる。
ファイアボルトに視線が集まっていた。
歓声をあげたりしながら、ハリーはあっという間に寮生に囲まれてしまう。
「ハリー、何処で手に入れたんだい?」
「僕にも乗せてくれる?」
「もう乗ってみた、ハリー?」
「レイブンクローに勝ち目はなくなったね。みんなグリーンズイーブイ7号に乗ってるんだもの!」
「ハリー、持つだけだから、いい?」
ファイアボルトは色んな人の手に渡り、触れたり眺めたりされていった。
そしてようやく皆が離れた時、アリアネとハリーにロンはハーマイオニーの姿を探し始めた。
ハーマイオニーは齧り付くように勉強をしていて、3人とは目を合わなさいようにしていた。
そしてアリアネとハリーが近づくとハーマイオニーは教科書から視線を2人へと向ける。