第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「シリウス・ブラックはを待ち受ける運命がそれだ。今朝の『日刊予言者新聞』に載っていたよ。魔法省が吸魂鬼に対して、ブラックを見つけたらそれを執行することを許可したようだ」
その言葉を聞いたアリアネは唇を少し噛んだ。
自分やハリーの両親を裏切り、マグルを殺した罪があるのだから当然なのかもしれないと思う所があった。
「当然の報いだ」
「……ハリー」
「そう思うかい?それを当然の報いと言える人間が本当にいると思うかい?」
「はい。そんな……そんな場合もあります」
「人を殺したのだから、当然の報いなんでしょうね……」
ボソリとアリアネは呟きながらバタービールを飲み干した。
そしてハリーもバタービールを飲み干し、2人はリーマスにお礼を言ってから『魔法史』の教室を離れる。
「吸魂鬼の頭巾の下に何があるから、聞かなきゃよかった……」
「そうね……知らなかったらよかったわ」
2人は気が滅入りそうになりながら、階段を歩いていると誰かとぶつかった。
「ポッター、フリート、どこを見て歩いているんですか!」
「あ、マクゴナガル先生、すみません!」
「すみません、先生!」
「まったく……。グリフィンドールの談話室に、貴方達を探しに行ってきたところです。さあ、受け取りなさい。私たちに考えつく限りのことはやってみたしたが、どこもおかしくなところはないようです。どうやら、ポッター、フリート、貴方達はどこかによいお友達をお持ちのようね」
そう言いながら、マクゴナガルはファイアボルトとピアスの入った箱を差し出した。
「返していただけるんですか?」
「いいんですか?本当に?」
「本当です。ポッターはたぶん、土曜日の試合までに乗り心地を試す必要があるでしょう?それに、ポッター、頑張って勝つんですよ。いいですね?さもないと、我が寮は8年連続で優勝戦から脱落となります。つい昨夜、スネイプ先生が、ご親切にそのことを思い出させてくださいましたしね……」
ハリーとアリアネは互いに顔を見合せてからにっと笑い、急いでグリフィンドール塔へと階段を登った。
そして角を曲がった時に、ロンが全力疾走でこちらに走ってくるのが見えた。
「マクゴナガルがそれを君に?最高!ねえ、僕、1度乗ってみてもいい?明日」
「ああ……なーんだっていいよ……」