第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「何を?」
「あんなに沢山のクラスをさ。今朝、ハーマイオニーが『数占い』のベクトル先生と話してるのを聞いちゃったんだ。昨日の授業のことを話してるのさ。だけど、ハーマイオニーは昨日その授業に出られるはずないよ。だって、僕たちと一緒に『魔法生物飼育学』にいたんだから。それに、アーニー・マクミランが言ってたけど、『マグル学』のクラスも休んだことがないって。だけど、そのうち半分は『占い学』とおんなじ時間なんだぜ。こっちも皆勤じゃないか!」
ハーマイオニーの行動は不可解である。
だがアリアネはそんなハーマイオニーを心配する気持ちはあっても、口に出す事はなかった。
「別にどうでもいいわ。どうせ聞いたって『貴方達には関係ない』って言われるだけだから」
「まあ、確かにそうなんだけどね」
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吸魂鬼防衛術訓練の日。
アリアネはまたハリーの防衛術の訓練を観察しながら、ハーマイオニーの事を考えていた。
ハーマイオニーはたまにだが、人を怒らせる事を言ったりその行動で人を怒らせたりすることはある。
だが今まであんな言い方なんてしなかったのにと、考え込んだ。
(今思えば、何処か追い詰められてる感じがしたわね……)
そう思いながら、ハリーが銀色の影を創り出すのを見つめる。
彼は何度もしているうちに銀色の影が創り出せるようになっていたが、吸魂鬼を追い払うことは出来ていなかった。
「高望みしてはいけない」
4週目の訓練の日、リーマスは厳しくハリーをたしなめた。
「13歳の魔法使いにとっては、たとえぼんやりとした守護霊でも大変な成果だ。もう気を失ったりしないだろう?」
「僕、守護霊が吸魂鬼を追い払うか、それとも消してくれるかとそう思っていました」
「本当の守護霊ならそうする。しかし、君は短い間にずいぶんできるようになった。次のクィディッチ試合に吸魂鬼が現れたとしても、暫く遠ざけておいて、その間に地上に下りることができる」
「あいつらがたくさんいたら、もっと難しくなるって、先生がおっしゃいました」
「君なら絶対大丈夫だ」
リーマスは優しく微笑みながら、何かを取り出してからアリアネへと手招きをする。
手招きに首を傾げたアリアネだが、ハリーとリーマスの元に駆け寄った。