第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「え、ハーマイオニーと喧嘩したの?」
「私には関係ないでしょう、ほっといてとか嫌ないいかたをするものだから……つい……」
翌朝、アリアネはハーマイオニーと喧嘩した事にかなり落ち込んでいた。
幾ら言い方が悪かったとはいえ、喧嘩なんてするものじゃないのにと落ち込んでいたのだ。
「それはハーマイオニーが悪いね。アリアネは悪くないさ」
「だけど最近のハーマイオニーはどこかイライラしてたり、気が強くなってたりするよね。どうしたんだろう?」
「どうでもいいさ、あんな奴」
ハーマイオニーは毎晩、必ず談話室の片隅で色んな教材の羊皮紙や教科書に辞書やらを広げて一人で勉強していた。
ほとんど誰とも口を効かずにいて、目には隈さえできている。
「流石に身体が心配だわ……」
「あんなになるまで勉強しようとする気が知れないね」
「ロン、貴方ね……」
ロンはスキャバーズが襲われた事から、ハーマイオニーとは全く口をきいていない。
しかもハーマイオニーに対して毒を吐いたりするぐらいである。
「喧嘩したままは嫌だし、ちょっと声かけてくるわ」
「やめた方がいいと思うけどね」
アリアネはロンの言葉にため息を吐きながらも、談話室の隅で勉強するハーマイオニーの元に向かった。
「ハーマイオニー、大丈夫なの?隈が凄いけど」
「邪魔しないでよ!貴方には別に関係ないって言ってるでしょう!話しかけないでよ!」
「ハーマイオニー!その言い方はないだろう!」
「うるさいわ!鬱陶しいのよ!」
そこでついにアリアネは怒りを感じでハーマイオニーを睨みつけた。
「そう、鬱陶しいのね。じゃあもう勝手にしたらいいわ。もう心配も何もしないから気にせず勉強を続けたらいいわ」
それからアリアネとハーマイオニーはずっと口をきいていない。
喋ることもなければそばに居ることもなく、ハーマイオニーは孤立した状態になっていた。
ある晩のこと。
ロンは談話室で今日も一人で勉強しているハーマイオニーを見て、小声で囁いた。
「いったいどうやってるんだろう?」
ハリーとアリアネはスネイプから出された、『検出できない毒薬』のレポートを書きながら、ちらりとハーマイオニーの方へと視線を向けた。
ハーマイオニーの姿は高く積まれた本でほとんど見えることが出来ない。