第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「はい」
ハリーは蛙チョコレートを齧り、アリアネは彼の顔色が徐々に良くなっている事に安堵していた。
するとハリーはランプの灯りを消していたリーマスに話しかける。
「ルーピン先生。僕とアリアネの父をご存知なら、シリウス・ブラックのこともご存知なのでしょう」
その言葉にリーマスが驚いた表情で振り返る。
そしてアリアネも身体をピクリと動かしながらリーマスの事を見上げた。
聞きたくて聞けなかった言葉。
何処かリーマスはシリウス・ブラックについての質問をする時に嫌そうと言うより、拒んでいる所があった気がしたから。
「どうしてそう思うんだね?」
「別に。ただ、僕、父とアリアネのお父さんとブラックがホグワーツで友達だったって知ってるだけです」
「アリアネも知っていたのかい?」
「ええ、知ってるわ」
「そうか……ああ、知ってた。知っていると思っていた、と言うべきかな。ハリー、アリアネ、もう帰った方がいい。だいぶ遅くなった」
2人は立ち上がりグリフィンドール塔へと戻って行った。
そしてアリアネはハリーと別れてから、女子寮へと戻れば備え付けの机でハーマイオニーが勉強しているのが見えた。
もう遅い時間だ。
それなのにまだ宿題をしているようで、アリアネは息を小さく吐き出してからハーマイオニーに声をかけた。
「ハーマイオニー。最近勉強ばっかりしてるけど大丈夫なの?ちゃんと休めてる?」
「休めてるわよ。貴方には関係ないから気にしなくていいわよ」
「関係ないって……親友を心配するのは当たり前でしょう?」
「私の事なんて心配しなくていいわ。言ったでしょう、あなたには関係ないって。貴方はルーピン先生のことでも心配していたらどうなの」
ハーマイオニーの言い方にアリアネも流石にムッとした。
眉を釣り上げながら、自分のベッドに腰掛けてからハーマイオニーを睨むように見る。
「ハーマイオニー、その言い方はないんじゃないの。心配してるって言ってるのに関係ないとか、嫌な言い方しないでちょうだい」
「関係ないからそう言ってるのでしょう!ほっといてよ!!」
「……そう、分かったわ。もういいわ、勝手にしてちょうだい!」
アリアネとハーマイオニーの間に亀裂が入った。
2人は互いに口を効かずに、アリアネはそっぽを向いて眠りについた。