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シリウスに導かれ【ハリーポッター❈救済】

第12章 守護霊【アズカバンの囚人】


ハリーは次こそはあんな失態を犯したくないと思っていた。
あの時の悔しさや辛さを体験するのは懲り懲りであり、次こそは勝ちたい。
そんなハリーの願いとも言える言葉にリーマスは少し考える素振りを見せながら頷いた。

「よーし、わかった·····。別の思い出を選んだほうがいいかもしれない。つまり、気持ちを集中できるような幸福なものを·····さっきのは十分な強さじゃなかったようだ·····」

リーマスの言葉を聞いたハリーは暫く考えてから、ぎゅっと杖を握りしめた。
その様子を見たリーマスは箱の蓋を掴む。

「いいかい?」
「いいです」
「それ!」

リーマスが箱の蓋を開ければ、吸魂鬼がふわりと現れる。
相変わらずの薄気味悪い姿をした吸魂鬼に、少し離れた場所にいたアリアネは息を飲む。

あの時、吸魂鬼のせいで聞いた声。
あんな悲痛な声は聞きたくないと願いながら、吸魂鬼をアリアネは見つめていた。

「エクスペクト・パトローナム(守護霊よ来たれ)!エクスペクト・パト──」

ハリーの体がぐわんと動く。
そしてそのままゆっくりと彼の体が動いたと思った時、アリアネは動きそうになったがリーマスがそれを止めた。

「リディクラス!」

リーマスが呪文を叫ぶと吸魂鬼はボールのような形になった。
それをリーマスは箱になんとか詰め込んでいき、その様子を見たアリアネはハリーの元へと飛んで行った。

「ハリー!ハリー、しっかりして!」
「ハリー!ハリー·····しっかりしろ·····」

リーマスは何度かハリーの頬を叩いた。
すると、ハリーはゆっくりと瞼を開いたが最初は虚ろであり、何度か瞬きをすると元の瞳に戻る。
そして彼はポツリと呟いた。

「父さんとアリアネのお父さんの声が聞こえた」
「え·····」
「父さんの声は初めて聞いた。母さんとアリアネのお母さんが逃げる時間を作るのに、父さんとアリアネのお父さんが2人でヴォルデモートと対決しようとしたんだ·····」

ハリーの瞳からボロッと涙がこぼれ落ちた。
そしてアリアネの瞳からも涙が零れて、両親を失った2人の子供達は静かに泣き出した。
2人は慌ててその涙をローブで拭う。

「ジェームズとウィリアスの声を聞いた?」
「ええ·····でも、先生は僕の父をご存知ない、でしょう?」
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