第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「リーマス、本当に大丈夫なの?」
アリアネはリーマスの顔色の悪さに心配していた。
蒼白とまではいかないが、顔色は悪くて皆も少し気にかけている。
「ああ、平気だよ。またセブルスの薬を飲まないとな·····。だけどあの薬不味いんだよ。砂糖を入れたいが、効果が無くなるから困ったものだ」
リーマスは平気そうに笑った。
だがアリアネは眉間に皺を寄せて、大丈夫じゃないことぐらいお見通しなのにと心の中で独りごちった。
そして木曜の夜8時。
ハリーとアリアネはグリフィンドール塔を抜け出して、『魔法史』の教室に訪れていた。
「あら、リーマスはまだいないのね」
「早く来ちゃったかな。待ってようか」
杖で明かりを灯しながら待っていれば、5分ぐらいでリーマスが現れた。
彼は何故か荷造り用の大きな箱を抱えていて、アリアネとハリーは首を傾げる。
「それ、何ですか?」
「まね妖怪(ボガート)だよ」
「ボガート?」
「火曜日からずっと、城をくまなく探してたら、幸い。コイツがフィルチさんの書類棚の中に潜んでいてね。本物の吸魂鬼に1番近いのはこれだ。ハリーを見たら、こいつは吸魂鬼に変身するから、それで練習できるだろう。使わない時は私の事務室にしまっておけばいい。まね妖怪の気に入りそうな戸棚が、私の机の下にあるから」
「はい」
アリアネは椅子に腰掛けてから、2人の様子を見まることにした。
そんな彼女を見たリーマスは小さく笑いながら、ハリーへと視線を移す。
「さて·····。ハリー、私がこれから君に教えようと思っている呪文は、非常に高度な魔法だ。いわゆる『普通魔法レベル(O・W・L)』資格をはるかに超える。『守護霊の呪文(パトローナス・チャーム)』と呼ばれるものだ」
「どんな力を持っているのですか?」
「そう、呪文がうまく効けば、守護霊が出てくる。いやば、吸魂鬼を祓う者、保護者だ。これが君と吸魂鬼との間で盾になってくれる」
リーマスの言葉にアリアネは『へえ·····』と呟きながら、呪文の名前を記憶した。
もしかしたら自分も使う時があるかもしれないからと。
だが、自分の守護霊はなんだろうか。
それが1番気になる所だと思いながら、目を瞑り守護霊を、想像してみるがうまく出来なかった。