第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
「それはそうなんだけど·····安全性が·····」
「私は気にしないわ。リーマスが駄目って言っても絶対に一緒に暮らす!もう待つのは嫌よ·····」
じわりと彼女の瞳に涙が浮かぶ。
今にもこぼれ落ちそうな涙にリーマスは眉を下げて、椅子から立ち上がると彼女の小さな体を抱きしめた。
「寂しい思いをさせてすまなかったね·····。一緒に暮らすのはもう少し考えさせてほしい。君と暮らすのが嫌なんじゃない。君が安全で過ごせるようにしたいんだよ」
「·····別に平気よ」
「私が心配なんだよ。だからもう少し考えさせておくれ」
リーマスは幼子に言い聞かせるように、背中を撫でながらアリアネを宥めるのであった。
それからアリアネはグリフィンドール塔に戻ってからハリーの姿を見つけると声をかけた。
「吸魂鬼防衛術の練習を見てていいか?」
「そう。私も勉強したいのだけど、いいかしら?」
アリアネはハリーに吸魂鬼防衛術の練習を見ててもいいかと聞いて、ハリーはその質問に特に悩むことなく微笑んだ。
「別に構わないよ」
「ありがとう、ハリー!」
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次の週から学期が始まった。
1月上旬、ハグリッドの授業は寒い中の授業でも生徒たちを大いに喜ばせた。
大きな焚き火の中に火トカゲ(サラマンダー)を沢山集めて、燃える中でチョロチョロ動く姿に生徒は大いに楽しんで喜んだのであった。
「ああ、やはり!Mr.ポッター、Ms.フリート。貴方達の生命線は1番短いです!」
「そんなに短いかしら?」
「さあ?」
トレローニーの授業では手相占いに入り、授業が始まって早々にアリアネとハリーは生命線が短いと告げられたが特に気にする素振りは見せなかった。
その後、『闇の魔術に対する防衛術』ではハリーはリーマスにいつ吸魂鬼防衛術の訓練をするのかと訊ねた。
「ああ、そうだったね。そうだな·····木曜の夜、8時からではどうかな?『魔法史』の教室なら広さも十分ある·····どんな風に進めるか、私も慎重に考えないといけないな·····本物の吸魂鬼を城の中に連れてきて練習する訳にもいかないし」
そうして、吸魂鬼防衛術の訓練は木曜の夜となった。
もちろんアリアネも参加することになり、訓練はしないが見て学ぶことにした。