第12章 守護霊【アズカバンの囚人】
クリスマス休暇明けの日。
学期が始まる前の日、アリアネはリーマスがいる部屋に紅茶を飲みながら居座っていた。
「なるほど。ハーマイオニーは君とハリーを心配していたんだろうね」
「そうでしょうね。でもハリーとロンはカンカンに怒ってるし、ハーマイオニーも怒っているのよね」
クリスマス休暇の時の出来事をアリアネはリーマスにすべて話していた。
だがトレローニーが言っていた『先が短い』というのは言ってはいない。
「2人はハーマイオニーと口はきいていないのかい?」
「全く。ハーマイオニーは私たちを避けるように談話室からいなくなるものだから·····」
「ハーマイオニーも心苦しかったのだと思うよ」
リーマスはゆったりとした手つきで紅茶を飲む。
アリアネはリーマスと過ごすこの時間がとても好きであり、時間があれば居たいと思っていた。
だが最近はリーマスが体調を崩したり、リーマスの授業が人気になって生徒達がいるせいでなかなか2人で会える機会がなかったのだ。
複雑な気分である。
アリアネはそう思いながら、紅茶を口に含んでゆっくりと飲んでいく。
「そういえば、ハリーに吸魂鬼防衛術を教えるんでしょう?」
「ああ」
「私、その時に近くで見ていても良いかしら?私も見て覚えておきたいの。もしの為に·····」
「ふむ·····。私は別に構わないけれど、ハリーに聞いてごらん。それでハリーが良いよと言ったら、見ていても構わないよ」
「本当?じゃあ後で談話室に戻ったら聞いてみるわね」
話し終えてから、アリアネはティーカップを机に置いてから手をモジモジとさせた。
言いにくそうにしながらも、リーマスをちらりと見てから口を開く。
「その、リーマス·····。体調は、大丈夫なの?」
その言葉にリーマスは少し目を見開いてから、小さく微笑んだ。
「大丈夫だよ。セブルスが薬を使ってくれていてね·····おかげでこうしてアリアネとゆったりとしていられるよ」
「·····その薬があればまた、一緒に暮らせる?」
アリアネの言葉に、リーマスはまた目を見開かせた。
そして何処か気まずそうにしながら、彼女から目を逸らしてしまう。
「それは·····」
「私は別に気にしないわ!それに5歳まで一緒にいても大丈夫だったじゃない!」