第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「もちろん、存じてましたわ、ミネルバ。でも、『すべてを悟れる者』であるこもを、ひけらかしたりはしないものですわ。あたくし、『内なる眼』を持っていないかのように振る舞うことがたびたびありますのよ。他の方たちを怖がらせてはなりませんもの」
「それですべてがよく分かりましたわ!」
マクゴナガルはハーマイオニーと似たところがある。
アリアネはそう感じながらも、また溜息を吐き出していた。
「ミネルバ、どうしてもとおっしゃるなら、あたくの見るところ、ルーピン先生はお気の毒に、もう長いことはありません。あの方自身も先が短いとお気づきのようで·····」
「ふざけないで!!」
その時、ガシャンと机を叩いて音を鳴らしながらアリアネが怒鳴るように叫んだ。
彼女の叫び声にその場にいた全員が目を見開かせている。
「リーマスの先が短い?出鱈目言わないで!占いなんて曖昧なもので勝手に人の名付け親を殺そうとしないで!!不快だわ!!」
「アリアネ、落ち着いて!」
「Ms.フリート!」
「いくら教師だとしても許さないわ!人が死ぬとか勝手に決めつけた挙句に、人の名付け親までも死ぬだなんて言い出して!」
「落ち着くのじゃ、アリアネ。ルーピン先生はそんな危険な状態ではないのはわしらも分かっておる。それにセブルスが薬を作ってくれておる。セブルス、ルーピン先生にまた薬を造って差し上げたのじゃろう?」
ダンブルドアはアリアネを宥めながら、スネイプの方へと視線を向けた。
「はい、校長」
「結構。それならルーピン先生はすぐによくなって出ていらっしゃるじゃろう。だからアリアネ、そんなに怒らずとも大丈夫じゃ。ルーピン先生は、家族である君を置いて行ったりはせんよ」
「·····はい、すみませんでした」
「よいよい、家族がああ言われたら怒るのも当たり前じゃ」
アリアネの怒りは僅かに残っていたけれども、ほとんど落ち着いていた。
そしてリーマスの『家族』と言われたことにほんの少し喜びを感じながら椅子に座る。
「大丈夫?アリアネ」
「うん、大丈夫·····」
トレローニーはマクゴナガルに睨まれ、その後は静かにディナーを過ごし、時折アリアネはトレローニーを睨みながらも、食事を続けていた。