第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「シビル、これはお珍しい!」
「校長先生、あたくし水晶玉を見ておりまして。あたくしも驚きましたわ。1人で昼食をとるという、いつものあたくしを捨て、みなさまとご一緒にする姿が見えましたの。運命があたくしを促しているのを拒むことができまして?あたくし、取り急ぎ、塔を離れましたのでございますが、遅れまして、ごめんあそばせ·····」
「それは、それは。椅子をご用意いたさねばのう」
ダンブルドアは杖をゆったりとした調子で振ると、椅子が回転しながら現れた。
その椅子はスネイプとマクゴナガルの間に落ちたが、トレローニーは座ろうとしない。
座るどころが、小さく悲鳴をあげる。
「校長先生、あたくし、とても座れませんわ!あたくしがテーブルに着けば、13人になってしまいます!こんな不吉な数はありませんわ!お忘れになってはいけません。13人が食事をともにするとき、最初に席を立つものが最初に死ぬのですわ!」
その言葉にアリアネは呆れたようにため息を吐き出す。
そんな事起きるわけが無いと呆れ、マッシュポテトを口の中へと入れて味わって食べていた。
「シビル、その危険を冒しましょう」
マクゴナガルはイライラしながら言った。
「かまわずお座りなさい。七面鳥が冷えきってしまいますよ」
トレローニーは迷った表情を浮かべながらも、空いている席へと腰掛けた。
そしてテーブルを見渡してから、わざとらしく声をかける。
「あら、ルーピン先生はどうなさいましたの?」
「気の毒に、先生はまたご病気での。クリスマスにこんなことが起こるとは、まったく不幸なことじゃ。アリアネよ、ルーピン先生のご病気が治ったらお見舞いに行っておやり。名づけ子である君がいれば、彼は元気になるじゃろうて」
「はい、そのつもりです」
アリアネはにっこりと微笑みながら、リーマスが居ないことに寂しさを覚えながらかぼちゃジュースを注ぐ。
小さい頃、まだ一緒に住んでいる時にアリアネはリーマスとよく2人っきりで質素ではあったがクリスマスパーティをしていた。
(ご馳走はそんなにないけど、楽しかった)
小さな頃の思い出に浸っていれば、マクゴナガルがため息を吐き出したのが聞こえた。
「シビル、あなたはとうにそれをご存知だったはずね?」