第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
ハーマイオニーの言葉にロンは憤然としてため息を吐き出してから『ヤレヤレ』と肩を竦める。
「ハーマイオニー、これは現存する箒の最高峰だ」
「なら、とっても高いはずよね。アリアネのピアスだってそうだわ。とても高いように見えるもの」
「箒はたぶん、スリザリンの箒を全部束にしたもかなわないぐらい高い。アリアネのそのピアス、宝石は小さいけど装飾が高そうだよな。いくらするんだろう·····」
アリアネのピアスはカージナルレッドの宝石に、金色の装飾がされているものだ。
匿名で送られるにしては高そうなものであり、ハリーの箒だって匿名で送られるには高すぎるもの。
「そんなに高価なものをハリーとアリアネに送って、しかも自分が送ったってことを教えもしないしない人って、誰なの?」
「誰だっていいなじゃないか。ねえ、ハリー、僕、試しに乗ってみてもいい?どう?」
「まだよ。まだ絶対誰もその箒に乗っちゃいけないわ!」
ハーマイオニーはそう叫んだ時である。
クルックシャンクスが、置かれていたベッドから飛び出してロンのパジャマの懐を直撃した。
「こいつを、ここから、連れ出せ!」
ロンは怒りが籠った声で叫んだ。
スキャバーズはなんとか逃げ出し、クルックシャンクスはロンに蹴飛ばされそうになったがギリギリで逃げた為、ロンの足はハリーのトランクを蹴った。
「ハーマイオニー、その猫、ここから連れ出せよ」
「はいはい、分かったわよ!行きましょう、アリアネ」
「あ、うん·····」
怒っているハーマイオニーに連れられてアリアネもハリー達の寝室を出ていった。
「アリアネ、私、そのピアス外した方がいいと思うのよ」
「どうして?」
「誰が送ってきたかわからないものよ?もしかしたら、シリウス・ブラックが送ってきたかもしれないわ」
「シウリス・ブラックが?なんで?」
ハーマイオニーの言葉にアリアネは目を丸くさせた。
逃亡犯であるシリウス・ブラックが何故、自分にプレゼントを送ってくるのだろうかと驚いてしまう。
「貴方の命を狙っているかもしれない人間よ。呪いがかけられていたらどうするの?」
「まあ、確かに匿名だから怪しいけれど·····」
「外して箱に収めてて。ハリーも喜んでないで怪しむべきなのよ、箒が誰から送られてきたのか!」