第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「どうしたの?アリアネ」
「名前が書いてない贈り物があるのよ·····」
「また?」
紺色の箱には名前が書かれていない。
恐る恐ると開けてみれば、そこにはカージナルレッドの小さな宝石が嵌め込まれたリング型のピアスがあった。
「ピアス·····」
「まあ、綺麗なカージナルレッドのピアス!誰から送られてきたのかしら」
「さあ。でも本当に綺麗·····」
「でも貴方、ピアスは既にしてるわよね」
「大丈夫。ピアスホール、もう1つずつ両耳にあるわ」
アリアネは鏡の前に座ると、耳朶より少し上の部分に送られてきたピアスを付けた。
カージナルレッドの宝石が朝日を浴びてキラキラと輝いている。
「綺麗ね、本当に·····」
「似合ってるわ、アリアネ。貴方の瞳と同じ色だわ」
「でも誰からなのかしら·····」
「そこよね·····似合ってるけど·····。似合ってはいるけれど、匿名ってところが·····」
そこでハーマイオニーは口ごもった。
「ハーマイオニー?」
「な、なんでもないわ。ハリーとロンを起こしに行きましょう」
2人は男子寮へと向かえば、ハリーとロンはニヤニヤしながらとある箒を手にしていた。
何をそんなにニヤけているのだろうかと思いながら、アリアネとハーマイオニーはお互いに顔を見合わせる。
「2人して、何笑ってるの?」
「何かいい事でもあったのかしら?」
ロンはハーマイオニーがクルックシャンクスを抱いているのを見て、眉間に皺を寄せた。
「そいつをここに連れてくるなよ!」
急いでロンは奥からスキャバーズを拾い上げると、パジャマのポケットにしまい込んでいた。
そんな中でアリアネはハリーが手にしているのを見てから口を開いて驚いていた。
「ハリー!それ、ファイアボルトじゃない!」
「まあ、ハリー!いったい誰がこれを?」
「さっぱりわからない。カードも何もついてないんだ」
「あら、私とまた同じね。私も誰から送られたかわからないプレゼントがあったのよ。コレ」
アリアネは耳を見せて、ピアスを見せた。
「わあ、綺麗じゃないか!」
「綺麗よね」
すると、ロンはハーマイオニーが顔を曇らせている事に気がついて眉を寄せた。
「どうしたのかい?」
「分からないわ。何かおかしくない?この箒は相当いい箒なんでしょう?違う?」