第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「ハグリッド?中にいるのなら返事をしてちょうだい!」
ノックをし続けて、数分も経たずに思い足音が聞こえてきて扉が開いた。
ちゃんとハグリッドは小屋にいるんだと安心した4人だが、顔を覗かせた彼に驚いてしまう。
ハグリッドは真っ赤な顔をして、泣き腫らした目をしていたのだから。
涙がまるで洪水を起こしているかのように流れている。
「は、ハグリッド·····?」
「聞いたか!」
大声でハグリッドは叫んだかと思うと、ハリーの首を抱きついた。
危うくハリーはハグリッドに潰されかけたが、アリアネとロンとハーマイオニーに助け出された。
3人はハグリッドの脇の下を支えるように持ち上げ、ハリーも手伝いながらハグリッドを小屋へと運ぶ。
ハグリッドはされるがままであり、椅子に腰掛けるとテーブルに顔を突っ伏して泣き出してしまう。
「ハグリッド、何事なの?」
「どうしたっていうのよ、そんなに泣いて·····」
ふと、アリアネとハリーはテーブルに何かの手紙が置かれていることに気がついた。
「手紙?」
「なんの手紙なの?」
「読み上げてみるわね」
ハグリッド殿
ヒッポグリフが貴殿の授業で生徒を攻撃した件についての調査で、のの残念な不祥事について、貴殿には何ら責任はないとするダンブルドア校長の保証を我々は受け入れることに決定いたしました。
しかしながら、我々は、当該ヒッポグリフに対し、懸念を表明せざるをえません。
我々はルシウス・マルフォイ氏の正式な訴えを受け入れることを決定しました。
従いまして、この件は『危険生物処理委員会』に付託されることになります。
事情聴取は4月20日に行われます。
当日、ヒッポグリフを伴い、ロンドンの当委員会事務所まで出頭願います。
それまでヒッポグリフは隔離し、繋いでおかなければなりません
敬具
手紙を読み終えたアリアネは眉を寄せていた。
手紙の後にはホグワーツの理事達の名前が連ねてある。
すると手紙の内容を聞いたロンが唸った。
「ウーン。だけど、ハグリッド、バックビークは悪いヒッポグリフじゃないって、そう言ってたじゃないか。絶対、無罪放免──」
「おまえさんは『危険生物処理委員会』ちゅうとこの怪物どもを知らんのだ!連中はおもしれぇ生き物を目の敵にしてきた!」