第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「私に対してまったく筋の通った話し方をするんで、なんだか意表を衝かれた気がした。吸魂鬼がほとんどブラックに影響をあたえていないことにね。しかもブラック派あそこでもっとも厳しく監視されている囚人の1人だったのでね、そう、吸魂鬼が昼も夜もブラックの独房のすぐ外にいたんだ」
「だけど、何のために脱獄したとお考えですの?まさか、大臣、ブラックは『例のあの人』とまた組むつもりでは?」
「それがブラックの、アー、最終的の企てだと言えるだろう」
何故か魔法大臣は言葉を濁した。
それが気になりながらも、私は顔を膝の間に埋めながら体を震わせる。
(ブラックは·····私の父さんと母さんを殺した·····裏切ったんだ)
そう思っていれば、カチャカチャという音が聞こえた。
誰かがグラスを置いたようだ。
「さあ、コーネリウス。校長と食事をなさるおつもりなら、城に戻ったほうがいいでしょう」
1人、また1人と足が消えていく。
そしてドアが開く音が聞こえて寒い風が頬を撫でていった。
「ハリー、アリアネ?」
名前を呼ばれたが反応出来なかった。
出来るわけがなかったのだ·····。
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ーthird person singularー
アリアネはハリーと共に無言でホグワーツ城に戻った。
2人ともどうやって戻ったのか正直覚えていないくらいであり、意識が無いとも言える状態だった。
そしてホグワーツ城に戻ってからアリアネはグリフィンドール塔へと戻ると寝室に籠った。
(誰も、なんで教えてくれなかったの·····)
リーマスもスネイプもダンブルドアもアーサー達もなにも教えてくれていない。
自分の両親とハリーの両親が、親友に裏切られて死んだという事実を。
「アリアネ?夕食の時間だけど·····」
「·····いらない、食べたくない」
ハーマイオニーは、気遣わしげに声をかけてくるがアリアネの返事はそれだけ。
その後は何も言わずにシーツの中に潜ってしまい出てこなかった。
「·····分かったわ。お腹すいたら言ってね、お菓子ならあるから」
返事はなかった。
ハーマイオニーは眉を下げながらも、アリアネから離れて大広間へと向かった。
寝室にはアリアネの1人だけ。