第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「ねえ、ハリー、アリアネ。やっぱりホグズミードに来ちゃいけないはずでしょ。ハリーは許可証にサインを貰っていないし、アリアネは取り下げられたでしょう!誰かに見つかったら、それこそ大変よ!それに、まだ暗くなってないし、今日シリウス・ブラックが現れたらどうするの?たったいま」
「こんな時にハリーとアリアネを見つけるのは大仕事だろうさ」
ロンは外を眺めながら呟いた。
外を見れば、大荒れの吹き荒れる大雪であり、とうていこれで人を探すのは無理がある。
「いいじゃないか、ハーマイオニー、クリスマスだぜ。ハリーとアリアネだって楽しまなきゃ」
ハーマイオニーはとても心配そうにしていた。
だけど私とハリーは帰るつもりはさらさらない。
「僕のこと、言いつける?」
「ハーマイオニー、言いつけるの……?」
「そ、そんな事しないわよ……でも、ねぇ、ハリー、アリアネ」
「もういいじゃないか。2人とも楽しもうぜ。ハリー、アリアネ、『フィフィ・フィズビー』を見たかい?」
ロンは私とハリーの腕を掴んでから樽の方へと引っ張っていく。
「『ナメクジ・ゼリー』は?酸っぱい『ペロペロ酸飴』は?この飴、僕が7つの時フレッドがくれたんだ。そしたら僕、酸で舌にぽっかり穴が空いちゃってさ。ママが箒でフレッドを叩いたのを覚えてるよ」
「そういえばそんなこともあったわね……」
「あれは最悪だったよ。あ、『ゴキブリ・ゴソゴソ豆板』を持っていって、ピーナッツだって言ったら、フレッドがかじると思うかい?」
「やめときなさい、やり返しされるわよ。倍で」
ロンとハーマイオニーはお菓子の代金を払い、私達はハニーデュークス店をあとにした。
外に出ると吹雪が酷くて私は目を瞑りながら歩く。
「そういえば、アリアネはホグズミード来たことあるの?」
「あるわ。アーサーおじさん達が連れてきてくれたことがあるのよ。でもこうして友人と行くのは初めて」
そんな話をしながら、4人揃って震えていた。
吹雪が酷すぎるのと寒すぎるせいで悴むのである。
「こうしよう。『三本の箒』まで行って『バタービール』を飲まないか?ハリーとアリアネ、薄手だし凍え死ぬよ」
「そうしたいわ。寒くて本当に死んじゃいそう」
手は真っ赤になっているし、風が冷たくて震えが止まらない。