第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
何せ、こんな素敵なものを渡すなんて損してしまう。
それにマクゴナガル先生に怒られるのが目に見えて分かるのだから渡さない。
「ハーマイオニー、君っておかしいよ。こんないい物が渡せるか?」
「そうだよ。それに僕がこれを渡したら、何処で手に入れたか言わないといけない!フレッドとジョージがちょろまかしたってことがフィルチに知られせてしまうじゃないか!」
「それじゃ、シリウス・ブラックのことはどうするの?」
ハーマイオニーは不貞腐れたように口を尖らせた。
「この地図にある抜け道のどれかを使ってブラックが城に入り込んでいるかもしれないのよ!先生方はその事を知らないといけないわ!」
「ブラックが抜け道から入り込むはずは無い」
「ハーマイオニー。この地図には七つのトンネルが書いてあるのよ。でも4つはもうフィルチが知ってる。残りの3つのうち、1つは崩れてもう通り抜けれないの。もう1つは『暴れ柳』の真下。最後のは私とハリーが通り抜けた所よ」
私は指で数を示しながら、ハーマイオニーに説明した。
「出入口は地下室にあって、見つけるのはかなり難しいの。まあ、出入口がそこにあると知っていれば……」
もしかしたら、ブラックがあの抜け道を知っていたらどうしようと一瞬ひるんだ。
するとロンが意味ありげに咳払いをして、出入口のドアに貼り付けられている掲示を指さす。
魔法省よりのお達し
お客様へ
先般お知らせいたしましたように、日没後、ホグズミードの街路には毎晩吸魂鬼のパトロールが入ります。
この措置はホグズミード住人の安全のためにとられたものであり、シリウス・ブラックが逮捕されるまで続きます。
お客様におかれましては、買い物を暗くならないうちにお済ませくださいますようお勧めいたします。
メリー・クリスマス!
「ね?吸魂鬼がこの村にわんさか集まるんだぜ。ブラックがハニーデュークス店に押し入ったするのを拝見したいもんだ。それに、ハーマイオニー、ハニーデュークスのオーナーが物音に気づくだろう?だってみんな店の上に住んでるんだ!」
「そりゃそうだけど……でも……」
ハーマイオニーは何処か心配そうにしながらも、別の理由を見つけようとしていた。
暫く考え込んでから何かを思いついたらしい。