第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「今がチャンスだ」
「うん……!」
素早く私達は隠れていた場所から階段へと向かい、急いで上がっていく。
階段上のドアを開けると、私達はハニーデュークス店のカウンター裏に出てきた。
頭を低くしてから横這いに進んで立ち上がる。
そして辺りを見渡してから、またハリーと顔を見合せてニヤリとした。
「ここがハニーデュークスなのね!お菓子がたくさん!」
「すごい、すごい……!こんなにお菓子があるんだ!」
ヌガー、ココナッツ・キャンディ、蜂蜜色のタフィーや何百種類のチョコレート。
百味ビーンズや、浮上炭酸キャンディーに色んなお菓子がたくさん棚に並べてある。
スンッと鼻を鳴らせば甘いいい匂いがする。
私とハリーはそれはもう夢中で辺りを見渡していた。
何人かホグワーツの生徒もいたけれど、人混みで私達に気が付いていないよう。
「あ、ハリー!ロンとハーマイオニーよ」
「何してるんだろう?行ってみようか」
「こっそりと行こう。驚かせてみたいわ」
「アリアネって意外と悪戯好きだよね」
「あの双子と8年間暮らしてたからかも」
ロンとハーマイオニーは血の味がするペロペロ・キャンディという所にいて、品定めをしているみたい。
そんな2人の背後に私とハリーは忍び寄る。
「ウー、だめ。ハリーとアリアネはこんなものほしがらないわ。これって吸血鬼用だと思う」
「じゃ、これは?」
悩んでいるハーマイオニーに、ロンが『ゴキブリ・ゴソゴソ豆板』というお菓子を見せた。
「絶対イヤだよ」
「私も嫌よ、そんなの」
私とハリーが声をかけた瞬間、ロンがお菓子を危うく落としそうになった。
「ハリー、アリアネ!?どうしたの、こんなところで?ど、どうやってここに?」
「ウワー!君達、『姿現し術』ができるようになったんだ!」
「まさか。違うよ」
「姿現し術なんて使ってないわよ」
私とハリーは声を落としてから、周りの誰にも聞こえないようにフレッドとジョージに『忍びの地図』を受け取った話をした。
「フレッドもジョージも、なんでこれまで僕にくれなかったんだ!弟じゃないか!」
「でも、ハリーとアリアネはこのまま地図を持ってたりしないわ!マクゴナガル先生にお渡しするわよね、ハリー、アリアネ」
「まさか!」
「僕、渡さない!」
私とハリーの言葉にハーマイオニーはギョッとした。