第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
ハリーは顔を膝に埋め、髪をぎゅっと握った。
その様子にアリアネはハリーの背中を撫で、フレッドはハリーの肩を掴んで乱暴に揺する。
「落ち込むなよ、ハリー。これまで1度だってスニッチを逃したことはないんだ」
「1度くらい取れないことがあって当然さ」
「これでおしまいってわけじゃない」
ジョージもハリーを励まそうとした。
「僕たちは100点差で負けた。いいか?だから、ハッフルパフがレイブンクローに負けて、僕たちがレイブンクローとスリザリンを破れば……ハッフルパフは少なくとも200点差で負けないといけない」
「もしハッフルパフがレイブンクローを破ったら……」
「ありえない。レイブンクローが圧倒的に強いさ。しかし、スリザリンがハッフルパフに負けたら……」
「どっちにしても点差の問題だな。……100点差が決め手になる」
ハリーは横になると、黙りこくってしまう。
その様子を見て誰もが心配そうにしていたが、マダム・ポンフリーがやってきて、チーム全員をハリーを安静にする為にと追い出してしまった。
「また見舞いにくるからな」
「ハリー、自分を責めるなよ。君はいまでもチーム始まって以来の最高のシーカーさ」
そうして、チームたちは泥の筋を残しながら出ていった。
マダム・ポンフリーはしょうがないという顔をしながらドアを閉める。
そしてアリアネとロンとハーマイオニーはベッドに近寄った。
「ダンブルドアは本気で怒ってたわ。あんなに怒っていらっしゃるのを見た事がない。あなたが落ちた時、ピッチに駆け込んで、杖を振って、そしたら、あなたが地面にぶつかる前に、少しスピードが遅くなったのよ。それからダンブルドアは杖を吸魂鬼に向けて回したの。あいつらに向かって何が銀色のものが飛び出したわ。あいつは、直ぐに球技場を出ていった……ダンブルドアはあいつらが学校の敷地内に入ってきたことでカンカンだったわ。そう言っているのが聞こえた……」
「それからダンブルドアが魔法で担架を出して君を乗せた。浮かぶ担架に付き添って、ダンブルドアが学校まで君を運んだんだ。みんな君が……」
「……とにかく、ハリーが無事で良かったわ。心配したのよ……」
話し終えてから、沈黙が流れる。
しばらくしてその沈黙を破ったのは、気がついたようにハッとしたハリーだった。
「誰か僕のニンバスつかまえてくれた?」