第2章 授業と決闘【賢者の石】
ハグリッドは、両親と交友があったから私を何かと気にかけてくれている。
それにハリーの事も凄く気にかけていたから、私たちの様子を知りたいのだろう。
「魔法薬学か·····最初の授業。ちょっと、億劫かな」
「あら、どうしてなの?ハリー」
「·····新入生の歓迎会の時さ、スネイプが僕を睨んできたからね。あの顔からして、僕はどうやらあの人に嫌われているみたいなんだ」
「·····嫌われている」
そういえば、歓迎会の時に彼はハリーに鋭い目を向けていた。
何故なのかは分からないが、セブはハリーを嫌っているみたい。
不思議に思いながらも、私たちは朝食を食べ終えてから魔法薬学の授業へと向かった。
魔法薬学の授業は地下牢で、寒くて壁にはずらりとアルコー漬けの動物が浮いたガラス瓶が並んでいる。
(あまり、趣味のいい部屋じゃないわね·····。セブは、ここで授業をしているけれど、寒くないのかしら)
そしてセブはゆっくりと出席を取り、ハリーの名前までしてちょっと止まる。
「ああ、さよう」
静かに呟いた言葉には、何処か嫌味が含まれている。
「ハリー・ポッター。われらが新しいスターだね」
くすくすと笑い出すマルフォイとクラッグにゴイルに対し、私は睨みつければハーマイオニーに腕を引っ張られて『やめなさい』と言われる。
「あいつ、もう一回脅さないといけないかしら·····」
「やめなさいよ。貴方、本当に喧嘩っ早いんだから」
ハーマイオニーに宥められながら、私はもう一回マルフォイを睨みつけると彼は目を見開かせて体をびくりとさせる。
そんな彼に眉を寄せながら、私は真っ直ぐに前を向いた。
出席を取り終えると、セブはゆっくりと生徒たちを見渡す。
「このクラスでは、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」
話し方を聞けば、セブは凄く教師らしい。
これを彼に言えば、『吾輩が教師なのを忘れていたのかね?』と言ってきそうだ。
「このクラスでは杖を振り回すようなバカげたことはやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと湧く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い廻る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力·····諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん」
相変わらずの無愛想な喋り方に、少し笑いそうになってしまう。