第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
アリアネは額を抑えながら、頭痛がすると言わんばかりに目を瞑った。
「さらに、吾輩の考え方を君が批判するのが、再び吾輩の耳に入った暁には、君は非常に後悔することにるだろう」
そのあとは誰も言葉を発することはなかった。
アリアネは時折スネイプを睨みつけ、教科書を睨みつけながら不愉快そうにする。
まるで授業そのものが不愉快そうに。
皆が狼人間に関しての写書きをしている中で、スネイプは机の間を行ったり来たりとして、リーマスがどのように何を教えているのかを調べていた。
「実にヘタな説明だ……これは間違いだ。河童はむしろ蒙古によく見られる。……ルーピン先生はこれで10点満点中8点も?吾輩なら3点もやれん……」
「ルーピン先生がそれで良いと思ったから点数を与えてくださったのでしょう。他教科の講師であるスネイプ先生があれこれ言うのは大間違いでは?」
書き取りをしながらアリアネがそう大きな声で言う。
誰もがその瞬間凍りついて、アリアネを見れば彼女は心底不愉快そうに、そして怒りを宿した目をしていた。
「何か、吾輩に不満でもあるのかね?Ms.フリート」
「不満が無ければ、私はこのような事は言ってないと思いますよ?スネイプ先生」
「……次、吾輩のやり方に口出しすれば罰則だ。Ms.フリート」
「そうですか、ご自由に」
その直後、授業を終えるベルが鳴った。
誰もが急いで教室を後にしようとしたが、それをスネイプが呼び止める。
「各自レポートを書き、吾輩に提出するよう。人狼の見分け方と殺し方についてだ。羊皮紙2巻、月曜の朝までに提出したまえ。このクラスは、そろそろ誰かが締めてかからねばならん。ウィーズリー、残りたまえ。罰則の仕方を決めねばならん」
ロンは残り、アリアネとハリーとハーマイオニーはクラスの皆と一緒に外に出た。
そして教室まで声が届かない所までくると、皆は口々とスネイプの悪口をぶちまける。
「いくらあの授業の先生になりたいからといって、スネイプは他の『闇の魔術に対する防衛術』の先生にあんなふうだったことはないよ。いったいルーピンに何の恨みがあるんだろう?例の『まね妖怪(ボガード)』のせいだと思うかい?」
「わからないわ。でも、ほんとうに、早くルーピン先生にお元気になってほしい……」