第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
あちこちで、目配せが交わされてブツブツと文句を言う生徒がいたが全員教科書を開いた。
「人狼と真の狼とをどうやって見分けるか、わかるものはいるか?」
スネイプの質問に、素早く手を挙げたハーマイオニー以外は黙り。
だが、スネイプはハーマイオニーの事は無視した。
「誰かいるか?」
目の前でハーマイオニーが手を挙げているのにも関わらず、彼はそれを無視して薄ら笑いを浮かべていた。
「すると、何かね。ルーピン先生は諸君に、基本的な両者の区別さえまだおしえていないとーー」
「お話したはずです。私たち、まだ狼人間までいってません。いまはまだーー」
「黙れ!」
パーバディの言葉にスネイプは怒鳴った。
その様子にアリアネは不愉快そうに顔を歪めさせていたのにスネイプは気が付くが、それを無視する。
「さて、さて、さて、3年生にもなって、人狼に出会っても見分けもつかない生徒にお目にかかろうとは、吾輩は考えてもみなかった。諸君の学習がどんなに遅れているか、ダンブルドア校長にしっかりお伝えしてこう」
「先生」
ハーマイオニーは未だに手を挙げたままだった。
「狼人間はいくつか細かいところで本当の狼と違っています。狼人間の鼻面はー」
「勝手にしゃしゃり出てきたのはこれで2度目だ。Ms.グレンジャー。鼻持ちならない知ったかぶりで、グリフィンドールからさらに5点減点する」
その言葉にハーマイオニーは顔を真っ赤にして手をおろし、目には涙を浮かべて俯いた。
その様子にクラスのほとんどがハーマイオニーを『知ったかぶり』と呼んでいたけれども、スネイプを睨みつけた。
クラス中の生徒が、もちろんアリアネも、嫌悪感を募らせていく。
みんな、ハーマイオニーを泣かせたことスネイプに怒りを感じていた。
そんな中で、よくハーマイオニーに『知ったかぶり』というロンが大声で叫んだ。
「先生はクラスに質問を出したじゃないですか。ハーマイオニーが答えを知ってたんだ!答えた欲しくないんなら、なんで質問したんですか?」
「ロン!言い過ぎよ……!」
「事実だろう、アリアネ!」
だが、全員がアリアネの言葉通りだと思っていた。
するとスネイプはじろりと、ロンの事を睨みつける。
「罰則だ、ウィーズリー」