第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
「今日は気分が悪く、教えられないとのことだ。それとポッター、座れと言ったはずだが?」
スネイプは口元に歪んだ笑みを浮かべていた。
だがハリーはリーマスが気になって、座らずに質問を相次いで投げかける。
「どうなさったのですか?」
「命に別状はない。グリフィンドール、さらに5点減点。もう1度吾輩に『座れ』と言わせたら、50点減点する」
その言葉に、ハリーは嫌そうにしながら、のろのろと自分の席まで歩いて腰掛ける。
「ポッターが邪魔をする前に話していたことがあるが、ルーピン先生はこれまでどのような内容を教えたのか、まったく記録を残してなちからしてーー」
「先生、これまでやったのはまね妖怪(ボガード)赤帽鬼(レッドキャップ)、河童、水魔(グリンデロー)です。これからやる予定だったのは」
ハーマイオニーが一気に答えて、次の授業内容を伝えようとすればスネイプは冷たく言葉を遮った。
「黙れ。教えてくれと言ったわけではない。吾輩はただ、ルーピン先生のだらしなさを指摘しただけである」
「ルーピン先生はこれまでの『闇の魔術に対する防衛術』の先生の中で1番よい先生です」
ディーンの勇敢なる言葉に、クラス中がガヤガヤとしながら支持した。
するとスネイプの顔つきは意地の悪いものへとなっていくことに、アリアネは気がついて嫌そうな顔になる。
(セブはリーマスのこと、嫌いなのかしら?)
そう思いながら頬杖を付くと、スネイプが嘲笑うかのように言葉を発した。
「点の甘いことよ。ルーピンは諸君に対して著しく厳しさに欠ける。赤帽鬼や水魔など、1年坊主でもできることだろう。我々が今日学ぶのはーー」
スネイプは何故か教科書を1番後ろのページまで捲った。
まだそのページの辺りは習っていないというのに。
「ーー人狼である」
アリアネが体を跳ねさせた。
そしてスネイプの事を睨みつけたが、彼はそんな視線に気がつくけれども気にしない素振りを見せる。
するとハーマイオニーが手を挙げた。
「でも、先生。まだ狼人間までやる予定はありません。これからやる予定なのは、ピンキーパンクでーー」
「Ms.グレンジャー。この授業は吾輩が教えているのであり、君ではないはずだが。その吾輩が、諸君に394ページをめくるように言っているのだ。全員!いますぐだ!」