第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
その名前にアリアネは目を見開かせた。
まさか、あのセドリックがクィディッチのキャプテンだとは知らなかったから。
「あれ?アリアネ、知ってるの?」
「え、ええ……まあ、ちょっとね」
「そうなんだ。ウッド、目を剥きながら叫んでたよ。勝たねばならん!って」
「熱いわねえ……ウッドって」
「着いていくのも一苦労さ」
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試合前日。
アリアネは目を見開かせて驚いていた。
今日は『闇の魔術に対する防衛術』の授業なのに、教卓に居るのはスネイプだったから。
「セブ!?」
監視してくる教師を撒いてから、早めに独りで教室を訪れたアリアネは驚いて、つい彼の名前を叫んだ。
するとスネイプは眉を寄せてからため息を吐き出す。
「また、監視の教師を巻いたのかね?アリアネ」
「だって正直に言って邪魔ですもの。それより、リーマスは?」
「……お前なら、何故ここにルーピン先生がいないかは分かるのでは?何せヤツはお前の名付け親であり育ての親だろう?」
「……もう、そんな時期だったのね」
ボソリと呟いた時、教室にロンやハーマイオニーに他の生徒たちが入ってきた。
そして他の生徒達も、スネイプが居ることに驚いている。
そんな中でハーマイオニーがスネイプに質問をした。
「あの、スネイプ先生。ルーピン先生は?」
「ルーピン先生は病欠だ」
「病欠?大丈夫なのですか?」
「命に別状はない。なあ?Ms.フリート」
ニヤリと口元を歪めて笑うスネイプにアリアネは何か、嫌な予感がした。
「皆、座れ。授業を始めるが……ポッターはどうしたのだね?」
「クィディッチのキャプテンと話しています」
ウッドは授業の合間に、ハリーに指示を出していた。
だがその度に話が長すぎて、ハリーは授業を何度も遅刻しかけている。
だが、今回は本当に遅刻した。
ハリーが『闇の魔術に対する防衛術』の教室に来たのは、授業が始まって10分後だった。
「遅れてすみません。ルーピン先生、僕」
ハリーは教室に飛び込んできてから、はっとした表情になった。
何せ彼を出迎えたのはリーマスではなくスネイプだったから。
「授業は10分前に始まったぞ、ポッター。であるからグリフィンドールは10点、減点とする。座れ」
「ルーピン先生は?」