第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
広間を襲撃していた。
そんな想像をした瞬間、アリアネとハーマイオニーは少しだけ身震いした。
そして周りにいた全員がこう囁く。
「いったいどうやって入り込んだんだろう?」
全員がそれについて謎に思っていた。
ホグワーツの外にはアズカバンの看守である、吸魂鬼がいるというのに。
そんな中で、1人のレイブンクローの寮生がコソコソと会話しているのがアリアネたちの耳に入り込む。
「『姿現し術』を心得てたんだと思うな。ほら、どこからともなく突如現れるアレさ」
「飛んできたのかも知れないぞ」
そんな会話を聞いていたハーマイオニーが呆れたようにため息を吐き出した。
「まったく。『ホグワーツの歴史』を読もうと思ったことがあるのは、私1人だけだっていうの?」
「たぶんそうだろ」
「あまり、『ホグワーツの歴史』を読もうとする人はいないわよ……」
「でも、どうしてそんなこと聞くんだ?」
ロンの言葉にハーマイオニーは説明を始めた。
「それはね、この城を護っているのは城壁だけじゃないってことなの。こっそり入り込めないように、ありとあらゆる呪文がかけられているのよ。ここでは『姿現し』はできないわ。それに、吸魂鬼の裏をかくような変装があったら拝見したいものだわ。校庭の入口は1つ残らず吸魂鬼が見張ってる。空を飛んできたって見つかったはずだわ。その上、秘密の抜け道はフィルチが全部知ってるから、そこも吸魂鬼が見逃していないはず……」
そんな時、大広間にパーシーの怒鳴り声が響いた。
「灯りを消すぞ!全員寝袋に入って、おしゃべりはやめ!」
蝋燭の灯りが消えた。
大広間は一気に暗闇に包まれ、残った明かりはというとふわふわと漂うゴーストを包む青白い明かりと、城の外と同じように星がまたたく魔法の天井の明かりだけ。
(……なんだか、不思議な気分ね。大広間でこうして眠るなんて)
アリアネは眠れる気配がなく、ただ星空を見上げていた。
そして1時間ごとに先生たちが1人ずつ大広間に入ってくる気配があるのに気がついた。
暫くして、皆が寝静まった朝の3時。
ダンブルドアが大広間に入ってきて、パーシーを探していた。
パーシーはアリアネとハリー、そしてロンとハーマイオニーの近くにいて、ダンブルドアの足音が聞こえて慌てて4人は寝たフリをする。