第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
ダンブルドアはグリフィンドール生全員に、大広間に集まるように伝えた。
10分後には他の3つの寮も大広間に集まり、当惑した様子を見せている。
「先生たち全員で、城の中をくまなく捜索せねばならん。とにうことは、気の毒じゃが、皆、今夜はここに泊まることになろうの。皆の安全のためじゃ。監督生は大広間の入口の見張りに立ってもらおう。首席の2人に、ここの指揮を任せようぞ。なにか不審なことがあれば、直ちにわしに知らせるように」
首席であり、ダンブルドアに頼まれたことによってパーシーは少し威張ったようにしていた。
そんなパーシーにダンブルドアは振り返る。
「ゴーストをわしへの伝令に使うがよい」
そう言うと、ダンブルドアは大広間から出ようとしたが何かを思い出したように立ち止まった。
「おお、そうじゃ。必要なものがあったのう……」
彼が杖を振ると、長いテーブルが大広間の片隅に飛んでいった。
そして何百ものふかふかとしている紫色の寝袋が、床一杯に敷き詰められる。
「ぐっすりおやすみ」
大広間からダンブルドアが消えると、大広間中がガヤガヤとうるさくなり、グリフィンドール生は他の寮生に何があったのかを説明をし始めた。
すると、パーシーが大声で叱りつけ始める。
「みんな寝袋に入りなさい!さあ、さあ、お喋りはやめたまえ!消灯まであと10分!」
その様子を見ていたアリアネはぼう……としながら、肖像画の事を思い出していた。
あんなに酷い有様は見たことはなく、軽くショックを受けていたのだ。
「行こうぜ」
ロンはそんなアリアネや、ハリーとハーマイオニーに声をかけた。
「うん」
4人はそれぞれ寝袋を掴んでから隅の方に向かう。
「ねえ、ブラックはまだ城の中だと思う?」
「ダンブルドアは明らかにそう思ってるみたいだな」
「そうね。じゃなきゃ、ダンブルドアはこうして大広間に集まらせないでしょうね」
「でも、ブラックが今夜を選んでやってきたのはラッキーだったと思うわ」
4人は寝袋に潜り込んでから、ヒソヒソと頬杖をつきながらブラックの話をしていた。
「だって今夜だけはみんな寮棟にいなかったんですもの……」
「きっと、逃亡中で時間の感覚がなくなったんだと思うな。今日がハロウィーンだって気づかなかったんだよ。じゃなきゃこの広間を襲撃してたぜ」