第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
そしてある夜。
ハリーはクィディッチの練習を終えてグリフィンドール室に戻ってくれば、談話室がざわついているのに気が付いた。
「何かあったの?」
「あら、おかえりなさい。ハリー」
「ただいま」
ハリーは暖炉近くの特等席にいたアリアネとロンとハーマイオニーに声をかけた。
3人は『天文学』の星座図を仕上げている最中だった。
「第1回目のホグズミード週末だ」
「10月末のハロウィーンに行けるのよ」
アリアネとロンはくたびれた掲示板に張り出されている、お知らせを指さした。
すると肖像画の穴からは、ハリーと同じくクィディッチの練習を終えたフレッドとジョージが入ってくる。
「やったぜ。ゾンコの店に行かなくちゃ。『臭い玉』がほとんど底をついてる」
ハリーとアリアネは楽しみではなかった。
そんな2人の気持ちを察したハーマイオニーが言葉をかける。
「ハリー、アリアネ、この次にはきっと行けるわ。ブラックはすぐ捕まるに決まってる。1度は目撃されてるし」
2人はブラックの件で外出をあまりしないような言われていたのである。
だから、ホグズミード行きも許されるかどうかも分からない状態。
それにハリーはホグズミード行きの許可を叔父達から貰っていないのだ。
「ホグズミードで何かやらかすほど、ブラックはバカじゃない。ハリー、アリアネ、マクゴナガルに聞けよ。今度行っていいかって。次なんて永遠に来ないぜ」
「ロン!ハリーとアリアネは学校内にいなきゃいけないなよ」
「3年生でハリーとアリアネ2人だけを残しておくなんて、できないよ。マクゴナガルに聞いてみろよ。ハリー、アリアネ、やれよ」
「うん、やってみる」
「私も相談してみるわ」
なんて話している時、クルックシャンクスが軽やかにハーマイオニーの膝に飛び乗ってきた。
その口には大きな蜘蛛の死骸があり、ロンは思いっきり顔を顰める。
「わざわざ僕たちの目の前でそれを食うわけ?」
「お利口さんね、クルックシャンクス。独りで捕まえたの?」
ハーマイオニーはクルックシャンクスを撫で、クルックシャンクスはというと、ロンを見ながら蜘蛛を噛んでいた。
「そいつを底から動かすなよ。スキャバーズが僕のカバンで寝てるんだから」
「クルックシャンクスはいい子だから、そんな事しないわよ」
「どうだか……」