第11章 忍びの地図【アズカバンの囚人】
ーthird person singularー
『闇の魔術に対する防衛術』の授業は今では、ホグワーツでは人気の科目となっていた。
だがスリザリンだけは、リーマスの事を気に入ってないようで彼の粗探しをしていて、陰口を叩くがことごとくアリアネによって制裁されている。
そんなアリアネは、今非常に複雑な気分だった。
名付け親であり育ての親、そして代父であり後見人のリーマスが生徒たちに慕われているのは嬉しい。
だが、リーマスの所に行こうとすれば直ぐに他の生徒に囲まれているせいでなかなか近づけない。
複雑な気分に悩まされていた。
「リーマスが、人気なのは凄く嬉しいわよ。私だって嬉しいのよ?でも……でも……」
「人気すぎて複雑なのね、アリアネ」
「最近なんて、リーマスとまともに会話出来てないわ……。ううう……」
「僕は最近、フレッドに八つ当たりされて困ってるけどね」
「フレッドに?なんでさ」
「嫉妬だよ、嫉妬」
朝食時間、アリアネは落ち込んでいてロンは不貞腐れた表情を浮かべていた。
フレッドは少し離れたテーブルのところから、面白くなさそうにアリアネを見ていた。
恋心を寄せている子が、例え名付け親だとしても他の男と親しげにしていて嫉妬が芽生えている。
「嫉妬は見苦しいぜ、フレッド」
「うるさい。仕方ないだろう?アリアネは今、ルーピン先生に夢中なんだ」
「それこそ仕方ないだろ?相手は8年間会えていなかった名付け親だ。アリアネが夢中になるのも仕方ないぜ」
「それだけじゃない。ハリーと距離が近かったり、ロンとも距離が近い」
「アリアネにしてみれば、あの2人は兄弟ぐらいしか思ってないと思うけどな」
フレッドは不貞腐れたようにしながらも、アリアネを見つめていた。
そんな双子の兄弟にジョージは軽くため息を吐き出す。
「そんなに嫌なら、告白しろよ。なんで告白しないんだ?怖気付いてるのか、兄弟」
「違う。今、アリアネは俺の事を兄としか思ってないんだ。男として認識してもらうまで、告白はしない。してもフラれるのがオチだ」
「確かに。だけど、うかうかしてると……アリアネは他の男に取られそうけどな」
そんな会話をしているとはアリアネは知らずに、落ち込んだままソーセージを噛んでいた。