第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
リーマスはなんて答えようかと悩んでいた。
だけど、すぐに私は彼が止めた理由が分かったので私はため息を吐き出す。
「言っておくけど、私が怖いのはヴォルデモートじゃないわ」
「アリアネ……」
「私が怖いと思っていたのは、吸魂鬼なの。私ね、あの列車で吸魂鬼を見た時に凄く身の毛がよだったし、怖くてたまらなかった。今まで1番、これまで見てきた蜘蛛や蛇とかより」
私の言葉にリーマスは申し訳なさそうにしていた。
「私の心配のしすぎだったね」
「てことは、ボガードが私の目の前にきたらヴォルデモートに変わると思ったのね」
「済まないね。どうしても、そう思ってしまったんだ」
「ハリーも、ボガードがヴォルデモートになると思ったんでしょう」
「ああ、そうだよ。心配しすぎだったかもしれないが、もしボガードが姿を例のあの人に変えたら、大問題になってしまうからね」
確かにそうかもしれない。
私はそう思いながら、ため息を吐き出した。
「それより、体調は平気かい?」
「平気よ。さすがマダム・ポンフリーよね」
「そうだね。それと……1つ気になることがあるんだが、いいかい?」
リーマスは何処か言いにくそうな、そんな雰囲気を出しながら私を見てくる。
「君は……フレッド・ウィーズリーの付き合っているのかい?」
私は目を見開かせた。
そんなに私とフレッドは付き合っているように見えるのだろうかと驚いてしまう。
今まで、何人かには『付き合っているの?』や『恋人なの?』と聞かれたことがある。
(まさか、リーマスにまでそう思われているだなんて!)
私は慌てて首を横に振った。
フレッドとは付き合ってもいないし、恋人でもなんでもない。
「付き合ってないわよ!」
「そうなのかい!?てっきり付き合っているのかと……。君が体調悪い時に抱き上げていたのを見たからね。つい……」
「もし、恋人が出来たら私は貴方に報告するわよ。名付け親で育ての親だし、私の代父だし……」
「それと私は、君の後見人だしね。だからこそ、ちょっと気になったんだよ。娘のような君に恋人がいるかどうか……」
「娘のような、じゃなくて……そこは娘って言って欲しいけれど」
「……それは、君の本当の両親に申し訳ないよ」
別に娘と呼んでくれていい。
私はリーマスを父親当然として見ているのにと、少し寂しくなった。