第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
「リディクラス!」
ロンが叫ぶと蜘蛛の脚が消えると、ゴロゴロと転がり始める。
ラベンダーが金切声を出した時、蜘蛛は私とハリーの足元にやってきたので杖を構えた時だった。
「こっちだ!」
突然リーマスが叫び、私たちの目の前に飛び出た。
すると蜘蛛が消えてしまい、私たちはキョロキョロと辺りを見渡す。
何処にボガードは消えたのだろうかと。
「あ……」
ボガードはリーマスの目の前にいた。
銀白色の月の形をした玉がリーマスの目の前に浮かんでいて、リーマスはそれを見ると面倒くさそうに叫んだ。
「リディクラス!」
ボガードはゴキブリに形を変えた。
「ネビル!前へ!やっつけるんだ!」
ネビルが前に出ると、ボガードはゴキブリからまたセブの姿へと変わる。
「リディクラス!」
一瞬だけ、ドレス姿のセブに姿が変わったけれどネビルが可笑しそうに笑うと、ボガードは破裂した。
何千という細い煙になって消え去ってしまったということは、ボガードは消えたということなのだろう。
「よくやった!ネビル、よくできた。みんな、よくやった。そうだな……まね妖怪と対決したグリフィンドール生1人につき5点やろう。ネビルは10点だ。2回やったかね。ハーマイオニーとハリーも5点ずつだ」
「でも、僕、何もしませんでした」
「ハリー、君とハーマイオニーはクラスの最初に、私の質問に正しく答えてくれた。よーし、みんな、いいクラスだった。宿題だ。ボガードに関する章を読んで、まとめて提出してくれ……月曜までだ。今日はこれでおしまい」
皆は興奮したように喋りながら職員室を出ていく。
そんな中で、私はリーマスが何故私とハリーがボガードと対決するのを意図的止めたのか分からなくて、その理由が聞きたくて職員室に残ることにした。
「ハリー達、先に戻ってて。すぐに追いつくから」
「分かったわ」
ハリーはちらりと私を見てから、リーマスへと視線を向けた。
ハリーも、意図的に止められたことを気にしているのかもしれない。
そして職員室からは生徒たちが消えた。
リーマスは何処か困ったように笑いながら私を見ていて、私は彼に近づく。
「ねえ、リーマス。なんで私とハリーがボガードと対決するのを止めたの?」
「やっぱり、気づいていたかい」
「あれぐらい気づくわ。貴方が意図的に止めたことぐらいは」