第2章 授業と決闘【賢者の石】
そしてその日の夜。
優勝は相変わらず豪華で、私はデザートの糖蜜パイを頬張っていた。
「僕、少しだけ安心したんだ」
「何に、安心したの?ハリー」
「ほら、僕·····魔法に関しては全然知らなかったから皆から凄く遅れを取ってると思ってたから。皆は、直ぐに魔法でも何でも出来ると思っていたよ」
「それはないよ。魔法界に居るからって、最初から何でも出来るわけじゃないさ」
「そうよ。魔法界生まれだからって言って、優位なスタートを切るわけじゃないわ」
「でも、アリアネとハーマイオニーは優秀じゃないか」
「そうかしら?」
ロンはハーマイオニーが苦手だと言いながらも、会話はなんとか出来ていた。
そして就寝時間前、私とハーマイオニーは金曜日の、明日の授業について話し合いをする。
明日は魔法薬学。
セブの授業だから、私は凄く楽しみだったしハーマイオニーも興味がある授業らしい。
「魔法薬学って、どんな実験をしたりするのかしら。どの授業も楽しいし、きっと魔法薬学も素晴らしくて楽しい授業のはずよ」
「きっとそうね。それに講師はセブ·····」
セブだから、楽しいわと言いかけて私は口を慌てて噤んだ。
セブからは『スネイプ先生と呼ぶように』と言われていた事を思い出す。
「セブ·····なに?アリアネ」
「あー·····なんでも、ないわ。きっと講師も素晴らしい先生のはずね」
慌ててそう言いながら、私はちょっと残念な気分になる。
だって折角セブと毎日のように会えるのに、名前を呼べないことが本当に残念。
そうして私は残念な気分と、楽しみの気分を持ちながら眠りにつくのだった。
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金曜日の朝
私はハーマイオニーと共に大広間で朝食を取っていた。
オートミールに蜂蜜と砂糖をたっぷりかけて食べていれば、横にいたハーマイオニーが少し顔を顰めている。
「貴方、本当に甘党なのね。砂糖と蜂蜜もかけて」
「甘いの食べた方が頭の回転は良くなるわよ。それに甘いものは美味しいじゃない?」
「美味しいけれど、かけすぎよ。身体にあまり良くないわね」
ハーマイオニーの言葉に耳を傾けながらも、砂糖と蜂蜜がたっぷり入ったオートミールを食べる。
甘いものは凄く美味しいけれど、確かにあまり身体にはよくないかもしれない。
「それより聞いたわよ、アリアネ」
「何を?」