第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
フレッドとジョージに手伝ってもらいながら、列車の戸口から荷物を入れていく。
全ての荷物を入れ終えてから、私はモリーおばさんに挨拶する為に一度列車を降りた。
「……あれ?ジョージとフレッド、何をしてるのかしら」
列車を降りると、双子はさっきモリーおばさんに声をかけていた男の子といた。
何をしてるんだろうと思えば、二人は男の子の荷物を入れるのを手伝ってあげているらしい。
悪戯好きで問題児だけど、二人は優しくもある。
モリーおばさんがこれを見たら喜びそうだなあ……と思いながら二人が列車に乗ったので、追いかけてまた列車に飛び乗った。
「普段から、そうやって優しい行いをしてたらモリーおばさんも怒らないのに」
「何を言ってるんだよアリアネ。僕らはいつでも優しい行いをしているさ。なあ、ジョージ」
「ああ、そうだともフレッド。アリアネは酷いなあ」
荷物を入れ終えた二人に声をかければ、二人はおちゃらけた口調でそう言うのでため息をつく。
すると、荷物を入れるのに疲れたのか黒髪の男の子は髪を掻き上げていた。
その拍子に額が見えて、私は思わず目を見開く。
「……額に、稲妻のような傷跡」
ぽつりと私が呟いた言葉を掻き消すように、ジョージが彼に声をかけた。
「それ、なんだい?」
ジョージは稲妻の傷跡を指さす。
するとフレッドはある事に気が付いて、声を出した。
「驚いたな。君は……?」
「彼だ。君、違うかい?」
「何が?」
「「ハリー・ポッターさ」」
「ああ、そのこと。うん、そうだよ。僕はハリー・ポッターだ」
「……ハリー!?あなた、あなたがハリー・ポッターなの!?」
驚いた私は思わず彼の手を取り、目を見開かせながら彼に詰め寄ってしまう。
するとハリーと名乗った子は驚いた顔をしながらも、何度も何度も頷いた。
彼が、ハリー・ポッター。
私がずっと会いたかった、幼馴染になる筈だった男の子なんだ。
「えっと、君は……」
「あ、ごめんなさい。私はアリアネ・イリアス・フリートよ」
「……君がアリアネ!?ハグリッドが言ってた、僕の両親の友達の娘で、僕の幼馴染になる筈だった?」
「ええ、そうよ!ハグリッドから聞いてたの?嬉しい、ずっと会いたかったの、貴方に!」
私は思わず彼を抱きしめてしまった。
ずっと会いたかったハリーと、やっと会えた事が嬉しくてつい。