第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
失礼な態度をマルフォイが、バックビークにとった時だった。
バックビークの鋼色の鉤爪が光り、マルフォイの腕を引っ掻く。
その瞬間、マルフォイが悲鳴を上げてハグリッドが慌ててバックビークの首輪を付けようと格闘していた。
バックビークは怒っているのか、マルフォイを襲おうともがいている。
そしてマルフォイのローブは見る見ると血に染っていき、彼は痛そうに身を丸めていた。
「死んじゃうよ!僕、死んじゃう。見てよ!あいつ、僕を殺した!」
「死にゃせん!誰か、手伝ってくれ。この子をこっから連れ出さにゃー」
ハグリッドは直ぐにマルフォイを抱き上げ、ハーマイオニーが慌ててゲートを開いた。
マルフォイの腕には長く深い裂け目があり、血が草を赤く染めあげていた。
そして、私たちは慌ててハグリッドを追いかけていけばスリザリンはハグリッドを罵倒する。
「すぐクビにすべきよ!」
「マルフォイが悪いんだよ!」
パーキンソンが泣きながら叫ぶと、ディーンも叫んだ。
「そうよ、マルフォイが悪いのよ。ハグリッドは最初に忠告していたわよ。それなのに守らなかったマルフォイが悪いわ」
「なによ、フリート!あなた、ハグリッドを庇うの!?」
「庇うもなにも、マルフォイが悪いのは目に見えて分かっていたでしょう?馬鹿なの、パーキンソン」
「マルフォイは悪くないわ!」
「悪いわ!」
「落ち着けよ、アリアネ!」
パーキンソンと言い争いをしていれば、ディーンやラベンダーたちが止めに入ってきた。
このままじゃ私とパーキンソンは殴り合いをしそうな勢いだったから。
「大丈夫かどうか、わたし見てくる!」
パーキンソンは大理石の階段を駆け上がっていった。
私たちはそれを見送り、グリフィンドール塔へと向かった。
「マルフォイは大丈夫かしら?」
「そりゃ、大丈夫さ。マダム・ポンフリーは切り傷なんかあっという間に治せるよ」
「マルフォイが悪いのよ、心配なんてする必要ないわ。いい経験になったんじゃない?馬鹿が少しは治るかも」
「マルフォイに対して、君は冷たいなあ」
「だって、私、アイツが嫌いですもの」
「だけど、ハグリッドの最初の授業であんなことが起こったのは、まずいよな?マルフォイのやつ、やっぱり引っかき回してくれたよな……」
マルフォイより、私はハグリッドが心配だった。