第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
そう呟きながら撫でて、ちらりとハリーを見れば彼もバックビークを撫でていた。
するとクラス全員が拍手をしていて、その音が森に響いている。
「よーし、そんじゃ、ハリー、アリアネ。こいつらはおまえさん達を背中に乗せてくれると思うぞ」
「え、乗るの?それよりこの子達に乗っても大丈夫なの?ハグリッド」
「大丈夫だ、大丈夫。そっから登れ。翼の付け根んとっからだ。羽を引っこ抜かねえように気をつけろ。嫌がるからな……」
ハグリッドに言われた通り、私とハリーは恐る恐るとヒッポグリフの背中に乗る。
ふわふわした羽が肌に触れて少し心地よく感じながら、背中を撫でた。
「2人とも大丈夫そうだな。そーれ行け!」
その時、ハグリッドはパシンとバックビークとベリードのお尻を叩いた。
それを合図にするかのようにベリードは羽を伸ばしてから羽ばたく。
「わあっ!」
グラッと体が傾く。
落ちないように私は慌てて羽を痛まないように掴む。
正直言って、かなりぐらつくので怖かったけれど飛ぶのは気持ちよかった。
ベリードは私を乗せて放牧場の上空を1周してから地上へと降りた。
隣を見ればハリーも地上に降りていて、ハグリッドが駆け寄ってくる。
「よーくできた、ハリー、アリアネ!」
ベリードから降りた私は、ベリードの嘴を撫でた。
「なんだ、よく懐いてるじゃねぇか」
「懐いているの?」
「ああ、懐いておる。アリアネはやはりヘレンによく似ちょる。ヘレンもヒッポグリフを懐かせておったからなぁ」
「そうなのね。母さんも……」
ふと、ある事を思った。
最近は特に母さんと似ていると言われることが増えたなあと。
「よーしと。ほかにやってみたい者はおるか?」
皆は最初は怖がっていたようだけれど、私とハリーのを見て安心したのか放牧場に入ってきた。
ハグリッドはそれを見てから1頭ずつヒッポグリフを解き放つ。
私とハリーはハーマイオニーとロンがお辞儀するのをみていた。
すると、視界の先でマルフォイがバックビークに向かったのが見えた。
バックビークがお辞儀をしたので、マルフォイは大きな態度をしながら嘴を撫でている。
「簡単じゃぁないか。ポッターとフリートにできるんだ、簡単に違いないと思ったよ。……おまえ、全然危険なんかじゃないなぁ?そうだろう?醜いデカブツの野獣君」