第2章 授業と決闘【賢者の石】
次の授業は『闇の魔術に対する防衛術』。
これは皆が一番望んでいた授業のようで、全員が楽しみでそわそわとしていた。
闇の魔術に対する防衛術のクラスに行こうとした時、私はあるものを見つけて足を止めた。
そしてまだ授業まで時間がある事を確認してから、ハリー達に声をかける。
「ハリー達、私ちょっと寄る場所があるから先に行っててちょうだい」
「僕も行こうか?」
「ありがとう、ハリー。でも大丈夫よ。すぐに追い付くから先に行っててちょうだい」
「アリアネ、授業に遅れないようにね。貴方、ハリー達と遅れそうになってたでしょう、何回も」
「気をつけるわ、ハーマイオニー!」
三人に手を振ってから、私は廊下から中庭へと走っていく。
そこには明るい太陽の下には似つかわしくない、真っ黒な鴉のような姿をした人が立っている。
私はその人へとゆっくりと近づいて声をかけた。
「鴉さん、ごきげんよう」
「Ms.フリート。授業の前に寄り道など、関心しませんなあ。遅刻してしまいますぞ」
「私だって、よく分かったわね。セブ!」
「吾輩を鴉と呼ぶのは君ぐらいだ。アリアネ」
鴉さんこと、セブルス・スネイプはゆっくりと振り返りながら呆れたように息を吐いていた。
彼と私はホグワーツに来る前から、面識があって交流がある。
だけど彼と交流があるのは、ウィーズリー家には秘密だ。
「だって、何時も真っ黒で鴉みたいだもの」
「鴉か·····。吾輩を鴉と呼ぶのはお前ぐらいだ」
セブは、私の両親と交流があった人。
父さんとは唯一無二の親友だったらしく、彼はスリザリン寮だったけれどグリフィンドールの父さんと本当に仲が良かったと彼は話してくれた。
私と彼の出会いは、五歳の頃。
当時育ての親と住んでいた家の近くの路地裏で、彼は私を見守るように見ていた。
『あなた、だあれ?』
『·····吾輩に気づいたのか。流石、ウィリアスの娘だ』
近づいて声をかけた時、彼は凄く驚いた顔をしていた。
彼は両親が死んでから、親友の娘であった私をずっと心配で見守ってくれていたらしい。
そこから、彼とたまに私は夜に秘密のお話会をした。
私は今日何をして過ごしたのかを話して、彼は私に両親の話をしてくれたのだ。
『君の両親は、驚くぐらいの善人だった。だが、吾輩は彼らを尊敬もしていた。お前の両親は良い人間達だったよ』