第2章 授業と決闘【賢者の石】
変身術はマクゴナガル先生が教えていた。
厳格で聡明な彼女は、皆が着席するなりお説教を始める。
「変身術は、ホグワーツで学ぶ魔法の中でも最も複雑で危険なものの一つです。いいかげんな態度で私の授業を受ける生徒は出ていってもらいますし、二度とクラスには入れません。初めから警告しておきます」
マクゴナガル先生はお説教を終えると、机を豚に変えてからまた元の机の姿に戻してみせる。
その光景に私やハーマイオニーに他の生徒たちは感激してしまい、早く試したくて堪らなかった。
だけど、私たちにはまだ家具を動物に変えるのは早くて時間がかかる。
ということで、ノートを採った後に一人一人マッチ棒が配られて、それを針に変える練習が始まった。
「パーシーがそういえば言ってたわね。最初はマッチ棒を針に変えるんだって」
「そうだったわね。アリアネ、貴方は直ぐに出来そう?」
「出来ると思っているわ。なにせ、ホグワーツに入学する前に家で何回かやっていたの」
「あら、そうなの。じゃあ、早速やってみましょう」
そうして、今回の授業でマッチ棒をわずかでも変身させることが出来たのは私とハーマイオニーだった。
マクゴナガル先生は、クラスの全員に私たちが変身させたマッチ棒がどんなに銀色でどんなに尖っているのかを見せた後、滅多に見せない微笑を見せた。
「ハーマイオニーも綺麗に変身させれてたわね」
「アリアネこそ。何時か、マクゴナガル先生のように家具を動物に変えたりしたいわ」
「私もしたいわ」
「君たちは直ぐに出来て羨ましいよ·····」
「僕たちは全然出来なかったからね」
私とハーマイオニーが楽しげに話していれば、後ろでハリーとロンはつまらなさそうにしていた。
二人は全然マッチ棒を針に変える事が出来なかったのだ。
「そのうち出来るわよ。最初からそう上手くいくものじゃないわ」
「私とアリアネは出来たけれどね。ほら、次の授業に行くわよ」
ハーマイオニーは鼻で少し笑うと、次の授業があるクラスへと歩いていく。
そんな姿を見たロンはうげえと舌を出す。
「やっぱり僕、あの子は苦手だよ。なんであんなに偉そうなんだ?」
「でも、話せば楽しい子よ?」
「アリアネがおかしいんだ、絶対に。なあ、ハリー」
「そうかもね」
「あら、酷いわね、ハリー」
「あ、えっと。次の授業楽しみだね!」