第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
「それでは、みなさま、2人ずつ組になってくださいな。棚から紅茶のカップを取って、あたくしのところにいらっしゃい。紅茶を注いでさし上げましょう。それからお座りになって、お飲みなさい。最後に滓が残るところまでお飲みなさい。左手でカップを持ち、滓をカップの内側に沿って3度回しましょう。それからカップを受け皿の上に伏せてください。最後の1滴が切れるのを待ってご自分のカップを相手に渡し、読んでもらいます」
紅茶で占うなんて不思議だなと思いながら、私はトレローニー先生の話を聞いていた。
「『未来の霧を晴らす』の5ページ、6ページを見て、葉の模様を読みましょう。あたくしはみなさまの中の移動して、お助けしたり、お教えしたりいたしますわ。あぁ、それから、あなた」
立ち上がっていたネビルの腕を、トレローニー先生が押える。
「1個目のカップを割ってしまったら、次のはブルーの模様の入ったのにしてくださる?あたくし、ピンクのが気にいってますのよ」
その言葉通り、ネビルが棚に寄った途端に陶磁器の割れる音が聞こえた。
トレローニー先生が言った通りにカップが割れてしまったのである。
さすが占い学の先生だけあると思いながら、私とハーマイオニーは紅茶を注いで貰いに行った。
言われた通り、お茶を飲んでから滓の入ったカップを回して水気を切ってから、カップを2人で交換する。
「私の、何が見える?アリアネ」
「うーん。ハート?……何かしらこれ」
「私、占いって信じてないのよね」
「え?」
「ほら、占いってとても曖昧なものでしょう?曖昧なものは信じるに値しないわ」
ハーマイオニーの言葉に、私は『なるほど』と呟きながら頷いた。
そしてハーマイオニーは私のカップを見てから、首を傾げる。
「動物の模様があるわ。これは何かしら……」
「アリアネも動物かい?ハリーもそうなんだよ。なんだと思う?これ」
ロンはハリーのカップを見せてきて、ハーマイオニーが私のを見て比べる。
「同じ模様ね」
「あたしが見ましょう」
すると、トレローニー先生がこちらにやって来てから私とハリーのカップを手に取る。
それをまじまじと見ながら、トレローニー先生は何処か感心したように息を吐き出した。
「隼……まあ、あなた達は恐ろしい敵をお持ちね」
「恐ろしい敵ですか?」