第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
銀色の梯子を見上げてから、皆はシーンとなる。
するとロンがニヤリと笑ってから、ハリーを見ると梯子へと誘導するように手を出した。
「お先にどうぞ」
「じゃあ、ハリーの次は私が登るわ」
「じゃあハリーとアリアネ、お先にどうぞ」
ハリーが登り始めてから、私も梯子に手をかけて登り始めた。
梯子を登り終えてから辿り着いたそこには奇妙な教室で、私は唖然としながら周りを見渡す。
教室は屋根裏部屋のような場所で、小さな丸テーブルがざっと20択以上ある。
テーブルの周りには肘掛椅子や、ふかふかとしている丸椅子が置かれていた。
「教室っぽくない場所ね」
「なんだか、不思議な場所だね……ここ」
真紅の仄暗い明かりが部屋を満たし、窓は全てカーテンにより隠されている。
ランプはほとんどが暗赤色のスカーフで覆われていた。
部屋は息苦しく暑くて、暖炉の上には色々ゴチャゴチャに置かれていた。
(暑いわ……すごく)
パタパタと手で顔を扇ぎながら、辺りを見渡した。
丸い壁面一杯に棚があったり、埃をかぶった羽根き蝋燭の燃えさしと何組のボロボロのトランプ、数え切れないほどの銀色の水晶玉とずらりと並んだ紅茶のカップがあった。
「先生はどこだい?」
すると、登ってきたロンが私たちの元に来てからそう訊ねてきた。
「ようこそ」
突然声がして、私たちは肩を跳ねさせた。
「この現世で、とうとうみなさんにお目にかはかれて嬉しゅうございますわ」
何処からともなく声がして、そちらへと視線を向けた。
そこにはひょろっと痩せた女性がいて、大きな眼鏡をかけている。
その眼鏡は度が強いのか、先生の目を実物より大きくさせている。
「お掛けなさい。あたくしの子供たちよ。さあ」
先生の言葉に、私たちは椅子に腰掛けた。
私とハリーにロンとハーマイオニーは同じテーブルの周りの椅子に腰掛ける。
「『占い学』にようこそ。あたくしがトレローニー教授です。たぶん、あたくしの姿を見たことがないでしょうね。学校の俗世の騒がしさの中にしばしば降りて参りますと、あたくしの『心眼』が曇ってしまいますの」
その言葉に私たちはキョトンとしていた。
「みなさんがお選びになったのは、『占い学』。魔法の学問の中でも1番難しいものですわ」
トレローニー先生の言葉に、私はマクゴナガル先生の授業の方が難しいのではと首を捻る。