第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
「気に食わん連中……?」
首を傾げていれば、セブは憎たらしそうな目をしながらリーマスが歩いていった場所を見ていた。
そして深く息を吐き出すと私へと視線を移す。
「それより、早く寮へと戻れ」
「はあい。おやすみなさい、セブ」
私は駆け足で寮塔へと向かえば、ハリーたちの姿を見つけた。
グリフィンドール生達もいてグリフィンドール塔へと繋がる階段を上がっているのが見える。
「ハリー、ロン、ハーマイオニー」
「あら、アリアネ。ルーピン先生とお話はできたかしら?」
「ええ、出来たわ」
「ルーピン先生の授業、楽しみね」
「そうね!」
そしてグリフィンドール塔の秘密の入口の前にたどり着くと、これも相変わらずの太った婦人がいて私たちに尋ねてくる。
「合言葉は?」
「道を空けて!道を空けて!」
すると後ろの方からパーシーが走ってきた。
「新しい合言葉は『フォルチュナ・マジョール!たなぼた!』」
「あーあ」
新しい合言葉を聞いたネビルが悲しげな声を出した。
毎回合言葉を覚えれない彼には、新しいこの合言葉がどうも難しいようだ。
「忘れないようにしないと」
「今回の合言葉は長いね」
そう言いながら私たちは談話室に入る。
そしてハリーとロンに『また明日』と別れを告げてから、ハーマイオニーと共に女子寮へと戻った。
「そういえば!」
私は女子寮に戻ってから、トランクを探り出す。
「どうしたの?アリアネ」
「ハーマイオニーに誕生日プレゼントを買っていたのよ。ちょっと待ってね。渡そうと思って忘れていたわ」
トランクの中身を引っ掻き回してから、私はプレゼントを取り出した。
淡いピンクのラッピングされた袋をハーマイオニーへと手渡せば、彼女は嬉しげに頬を赤く染める。
「ありがとう!」
「中身はバレッタよ。可愛いのがあったの」
「嬉しい!大事にするわ!」
「私の誕生日に、ヘアピンくれたからお返しにヘアアクセサリーにしたの。喜んでくれて嬉しいわ」
「喜ぶに決まっているわ!ありがとう!」
ハーマイオニーとプレゼントの話をした。
そして深夜近くになってから、2人でベッドに潜り込んでから『おやすみ』と言い合い目をつぶる。
そしてまた、夢を見た。
『アリアネ、敵は俺が取るからな』
黒髪の誰かがそう言った。
苦しそうに悲しそうにしながら、私の名前を呼んで……。