第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
頬を優しく撫でられた。
暖かくて少し骨ばった手は8年前と変わらなくて、相変わらず安心できる暖かさ。
「ハリーとは仲良くしているかい?」
「ええ、もちろん。友人になったのよ」
「それは良かった。君とハリーは本来幼馴染になるはずだったからね。仲良くしているなら良かった」
リーマスは何処か安心したようにしていた。
すると、後ろから足音が聞こえてきて振り返ればそこには不機嫌そうにしているセブが立っていた。
「Ms.フリート。早く寮に戻るといい。消灯時間に間に合わなくなるぞ」
「セブ!」
「名前で呼ぶではい」
セブはそう言うと睨んでくる。
そして私は『あ……』と声を出してから、思わず口を塞いでしまう。
「おや?アリアネ、セブルスを名前で呼んでいるのかい?」
「あ、えっと……」
「面倒臭い事になるから、名前で呼ぶなと言ったのに……お前と言う奴は」
「ご、ごめんなさい、セブ。でもリーマスぐらいなら言ってもいいじゃない?ほら、2人とも同級生だったんでしょう?セブから聞いたわ」
「ああ、同級生だったよ」
「あのね、リーマス。実は……」
セブは舌打ちしていたが、私はリーマスにセブがずっと私を見守ってくれたいた話をした。
するとリーマスは目を見開かせてから、セブを見ていたが、何処か嬉しげにもしている。
「そうかい、セブルス。君はアリアネをずっと見守っていてくれたんだね。そうだね。君は、ウィリアスとヘレンと仲が良かったから……」
「そうだな。だから2人がお前達と仲良くつるんでいたのが謎だった」
「え?」
「それはそうと、ルーピン。ダンブルドア校長がお呼びだ。早く行くといい」
セブは相変わらず不機嫌そうにしながらも呟いた。
「ああ、ありがとう。じゃあアリアネ、また明日会えたら話そう。早く寮に戻ってゆっくりと寝るんだよ。おやすみ」
「おやすみなさい、リーマス」
リーマスは最後に私の頭を撫でてから、歩いていってしまった。
少しだけリーマスが居なくなった事に寂しく思っていれば、セブが私の方を見つめる。
「嬉しそうだな、アリアネ。そんなに名付け親と再会出来たのが嬉しいのか?」
「当たり前よ。それよりセブ……あなた、リーマスと仲が悪いの?」
そう聞くと、セブは顔を顰めた。
「仲が悪というより、好かんのだ。ルーピンが気に食わん連中とつるんでいたからな」