第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
そんな事を思っていれば、ダンブルドアが次の新任の先生を紹介した。
「もう1人の新任の先生は、ケトルバーン先生は『魔法生物飼育学』の先生じゃったが、残念ながら前年度末わもって退職なさることになった。手足が1本でも残っているうちに余生を楽しまれたいとのことじゃ。そこで後任じゃが、嬉しいことに、ほかならぬルビウス・ハグリッドが、現職の森番役に加えて教鞭を取ってくださることになった」
私とハリー、そしてロンとハーマイオニーは顔を見合せた。
そして直ぐに私たちは嬉しくてたまなくて、大きな拍手を彼に送る。
グリフィンドールからは割れんばかりの拍手が巻き起こり、ハグリッドは恥ずかしそうにしていた。
「そうだったのか!」
「何が?」
「噛み付く本を教科書指定するなんて、ハグリッド以外にいないよな?」
「確かにそうね、ハグリッド以外にいないわ」
私たちは最後までハグリッドに拍手を送った。
ハグリッドは嬉し涙を浮かべたのか、テーブルクロスで目元を拭っていた。
「さて、これで大切な話はみな終わった。さあ、宴じゃ!」
その言葉を合図に、テーブルには沢山の料理が並んだ。
相変わらずの豪勢な料理に皆、嬉しげにしながら食べていく。
「宴が終わったら、ハグリッドのところに行こう」
「そうだね、話をしなきゃ」
「おめでとうって言わなきゃね」
「そうね!」
そして、ダンブルドアが寝る時間だと言った時、私たちはハグリッドと話せるチャンスがやってきた。
「おめでとう、ハグリッド!」
「おめでとう!本当に良かったわね、ハグリッド!」
4人で急いで教職員テーブルに駆け寄りながら、ハグリッドに話しかけた。
「みんな、あんた達4人のおかげだ。信じられねぇ……偉いお方だ、ダンブルドアは……。ケトルバーン先生がもうたくさんだって言いなすってから、まーっすぐに俺の小屋に来なさった……こいつは俺がやりたくてたまんなかったことなんだ……」
感極まったハグリッドはナプキンに顔を埋めた。
そして私はちらりと横の方を見て、リーマスが居ないことに気がつく。
「ねえ、ハグリッド。リーマス知らない?」
「ん?リーマスならもう広間を出たぞ。ついさっきだったから、まだ近くにいると思いぞ。話がしたいなら早く行くといい。8年ぶりの再会だろう?」
「うん!じゃあ、私ちょっと行ってくるね。ハリーたちは先に寮に戻ってて」