第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
2人は規則を破っていないはず。
だが、ふとある事を思い出して私は顔を青ざめさせた。
ハリーは今回、マグル相手に魔法を使ってしまっているのだから。
「まさか、ハリーが魔法使ったことがバレたのかしら……」
「……その可能性はある」
「ダンブルドアに魔法大臣が言ったかもしれないわね。でもハーマイオニーはどうして呼ばれたのかしら」
「確かに……ハリーはまだしもハーマイオニーも呼ばれてるからなあ。何があって2人は呼び出しを食らったんだ?」
ロンと顔を寄せ合いながらヒソヒソと話していれば、ダンブルドアがにっこりと笑顔を浮かべながら辺りを見渡しているのか見えた。
そして教員の机には相変わらず不機嫌そうなセブに、そしてにこやかな表情を浮かべているリーマスもいる。
リーマスが教師。
なんだか不思議な気分だけれど、大好きな名付け親であり育ての親と一緒にいられることはすごく嬉しい。
「アリアネ、顔が緩んでる。君、そんなにルーピン先生のこと好きなの?」
「大好きよ」
「うわぁ……フレッドが聞いたら妬きそう」
「なんでよ」
なんて話していれば、フリットウィック先生が古めかしい帽子と三本脚の丸椅子を大広間から運び出したのが見てた。
いつの間にか組み分け儀式が終了していたようだ。
「あー。組み分けを見逃しちゃった!」
「あら、ハーマイオニーにハリー。お帰りなさい」
ちょうど組み分け儀式が終了した時、ハーマイオニーたちが戻ってきた。
ハリーはロンの隣に座り、ハーマイオニーは私とロンの隣に座る。
「いったい何だったの?」
「えっとね」
ハリーが耳打ちで説明しようとした時、ダンブルドアが立ち上がった。
そこでハリーは『後で話すね』と言い、耳打ちするのを中断する。
「おめでとう!新学期おめでとう!皆にいくつかお知らせがある。1つはとても深刻な問題じゃから、皆がご馳走でぽーっとなる前に片付けてしまうほうがよかろうの……」
ダンブルドアは咳払いをする。
「ホグワーツ特急での捜査があったから、皆も知っての通り、わが校は、ただいまアズカバンの吸魂鬼、つまりディメンターたちを受け入れておる。魔法書のご用で、ここに来ておるのじゃ」
そういえばと、アーサーおじさんが言っていたのを思い出した。
ディメンターは警護の為にホグワーツの周りにいて、ダンブルドアはそれを快く思っていないと。