第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
ネビルが居たはずなのに、そういえばジニーと乗った時には居なかったなと私はコンパートメントの外に顔をのぞかせて辺りを見渡す。
「ネビルがいないわ」
「あのおチビさんなら、違うところに乗ってた。というか俺たちと代わってもらったさ」
そう言いながらジョージとフレッドは私とジニーの目の前に腰掛ける。
「そうなのね。でもなんで?」
「アリアネと居たからったから。フレッドが」
「そういうことだ」
「ふーん」
私はそう言いながら外を見る。
雨がいつの間にか降っていて激しさを増していて、辺りは暗くなっていた。
汽車の中も薄暗くなっていて、通路と荷物棚に明かりが灯される。
「車内販売で何か買う?」
「ケーキが買いたいわ」
「さすが、甘党」
「美味しいじゃない、甘いの」
なんて話しながら、車内販売のケーキやお菓子を買ったりと過ごしていた。
ハリーは今頃、ブラックのことをハーマイオニーたちに話しているのかしら。
そう思っていれば、何故か徐々に汽車が速度を落としだした。
まだ着かないはずなのに。
そう思いながら窓から外を見れば、まだホグワーツの城は見えていない。
「おかしいわね。まだつかないはずなのに」
「確かに。どうしたんだろうな、速度を落とし始めてるぞ」
「故障か?」
汽車はますます速度を落とし始めていて、雨が激しく窓に打ち付けている音が響く。
そしてついに汽車はガクンと音を鳴らして止まってしまった。
「止まったぞ……」
フレッドが眉を寄せた時だった。
バチンと前触れもなく明かりが一斉に消えてしまい、辺りが真っ暗になってしまう。
「暗くなったわ……」
「どういうことなのかしら?」
「ハリー達のところも消えてるのかしら。ちょっと見てくるわ」
「あ、あたしも行くわ」
コンパートメントを出れば、辺りは真っ暗。
故障したのだろうかと思いながら歩いていけば、通路の電気はすべて消えていた。
真っ暗な中を歩いて、手探りで歩いている時だった。
ドンッ!と誰かにぶつかり、私とジニーはその場に尻もちりを着いて『痛いっ!』と思わず叫んでしまった。
「だあれ?」
「いたた……」
「そっちこそだあれ?」
「ジニーなの?それにアリアネ?」
「その声はハーマイオニー?」
「何してるの?」
「ロンを探しているの」
「私は貴方達の所も電気消えてるのか見に来たの」