第10章 名付け親【アズカバンの囚人】
寝不足のまま、私はハーマイオニーとジニーと共にモリーおばさんが学生時代に作った『愛の妙薬』についての話を聞いてクスクスと笑った。
その後は大忙し。
車のトランクに私たちのトランクや鳥籠を載せたりとした。
そして車は長い距離を走らせながら、ハリーは私に声をかけてくる。
「昨日の件を、ロンとハーマイオニーに話してみようと思うんだ」
「私もそうしようかと思ったの。でも今じゃ話せないから、コンパートメントの中で話しましょう」
暫く走ってからキングズ・クロス駅に着いた時には、まだ20分も余裕があった。
魔法省の運転手がカートを探してきてくれ、私たちはそれに荷物を乗せていく。
アーサーおじさんは駅に入るまでずっと、私とハリーにピッタリと張り付いていた。
「よし、それじゃ。我々は大所帯だから、2人ずつ行こう。だが私は3人で行くよ。私が最初にハリーとアリアネと一緒に通り抜けるよ」
アーサーおじさんは私とハリーのカートを押しながら、9番線と10番線の間にある柵のほうへと歩き出す。
そしてアーサーおじさんは私たちに目配せしてから、何気なく柵に寄りかかる。
私とハリーもそれを真似した。
次の瞬間、私の身体は固い障壁を通り抜けていて9と4分の3番線ホームに足をつけていた。
相変わらずの紅色のホグワーツ特急があって、ホグワーツの生徒たちや保護者たちが集まっている。
「相変わらずのプラットフォームね」
「そうだね」
「……アーサーおじさんは警戒しているのかもしれないわね。私とハリーと一緒に来たのは」
「うん……僕もそう思うよ。きっとそうだ」
アーサーおじさんは未だに辺りを警戒したように見回していた。
その後、みんながこちらへと来てから私たちは後尾車両の方へと歩いて行く。
相変わらずコンパートメントは満員。
最初はハリー達と乗ろうとしたけれど、そこは既に一人誰かが居たから私はジニーと違うコンパートメントに乗ることにした。
それからトランクを載せたりとして、列車を降りるとモリーおばさんたちに挨拶をする。
「皆、いい子に過ごすのですよ」
モリーおばさんは皆の頬にキスをしてから、私とハリーに声をかけてきた。
「ハリー、アリアネ。無茶しないでね。いいこと?」
「分かってるわ、モリーおばさん。心配しないで」