第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
そのハリーの行動にアリアネはキョトンとしながらも、歩き出すハリーについて行く。
しばらくすればルシウスとドビーの姿を見つけた。
「アリアネ、耳を貸して」
「え?」
ルシウスに声をかける前に、ハリーは何をしようとしているのかをアリアネに話した。
話を聞いたアリアネはというと、ニヤリと笑みを深くさせてから慌てて自分のソックスを脱ぎ捨てる。
「その計画、私も乗るわ」
そして二重にソックスの中に日記を詰め込んだ。
それからハリーはルシウスへと声をかけた。
「マルフォイさん。僕たち、あなたに差し上げるものがあります」
「どうぞ受け取ってください、ルシウスさん」
ハリーとアリアネはニッコリと笑みを浮かべながらも、2人でルシウスの手にソックスを押し付けた。
「なんだ?」
ルシウスは2足のソックスわ引きちぎるろうに剥ぎ取ると、その中にある日記を目にした途端ソックスを投げ捨て怒り狂ったようにハリーとアリアネを見た。
「君たちもそのうち親と同じ不幸な目に遭うぞ。ハリー・ポッター、アリアネ・イリアス・フリート。連中もお節介の愚かな者だった」
「あら、あなたによりは愚かではないですよ。ねえ?愚かなルシウス・マルフォイさん。やることがバレバレなの、恥ずかしくなんいですか?」
アリアネの言葉に、ルシウスは顔を真っ赤にして怒りを顕にした。
そして立ち去ろうとして、ドビーへと声をかける。
「ドビー、来い。来いと言ってるのが聞こえんのか!」
ドビーは呼ばれても動こうとはしなかった。
ハリーとアリアネのソックスを握りしめて、それが貴重な宝と言わんばかりにじっと見つめている。
「ご主人がドビーめにソックスをくださった。ご主人様が、これをドビーにくださった」
「なんだと?いま、何と言った?」
「ドビーがソックスを両方いただいた。ご主人様が投げてよこした。ドビーが受け取った。だからドビーは、ドビーは自由だ!」
ドビーの叫び声にルシウスが固まる。
それからハリーとアリアネへ飛びかかろうとした。
「小僧と小娘め、よくも私の召使いを!」
「ハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリートに手を出すな!」
ドビーが叫ぶと、バーンという大きな音が響いてルシウスが後ろに吹き飛んだ。
そして階段へと転げ落ちていく。