第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
「すると、あなたはもう襲撃をやめさせたとでも?犯人を捕まえたのかね?」
「捕まえた」
「それで?誰なのかね?」
「前回と同じ人物じゃよ、ルシウス。しかし、今回のヴォルデモート卿は、ほかの者を使って行動した。この日記を利用してのう」
ダンブルドアはルシウスに真ん中に大きく穴が空いた、黒い日記を見せた。
ふと、アリアネとハリーはドビーが奇妙なことをしているのでそちらへと視線を向ける。
ドビーは大きな目で、曰くありげにハリーとアリアネをじっと見てから日記を指さして、次にルシウスを指さす。
それを終えると自分の拳で自分の頭をガンガンと殴りつけた。
「なるほど……」
「狡猾な計画じゃ」
ダンブルドアは全てを説明した。
するとルシウスはちらりとアリアネとハリーへと鋭い視線を投げる。
「なぜなら、もし、このハリーとアリアネが友人のロンとともに、この日記を見つけておらんかったら、おぉ、ジニー・ウィーズリーがすべて責を負うことになったかもしれん。ジニー・ウィーズリーが自分の意思で行動したのではないと、いったい誰が証明できようか……」
ルシウスは無言であり、能面のような表情を浮かべる。
「それならば、いったい何が起こったか、考えてみるがよい……。ウィーズリー一家は純血の家族のような中でももっとも著名な一族のひとつじゃ。アーサー・ウィーズリーと、その手によってできた『マグル保護法』にどんな影響があるか、考えてみるがよい。自分の娘がマグル出身の者を襲い、殺していることが明るみに出たらどつなったか。幸いなことに日記は発見され、リドルの記憶は日記から消し去られた。さもなくざ、いったいどういう結果になっていたか想像もつかん」
「それは幸運な」
ぎこちない言い方をするルシウスの後ろで、ドビーはまたルシウスを指さし続けた。
それから日記帳を指さし、またルシウスを指さしてから自分の頭にパンチを食らわせる。
ハリーとアリアネは全て理解した。
そしてドビーに頷いてみせれば、ドビーは隅の方に移動してから、自分を罰するために耳を捻り始める。
「マルフォイさん。ジニーがどうやって日記を手に入れたから、知りたいと思いませんか?」
「そうですよ、ルシウスさん。知りたいと思いません?ジニーがどうやって日記を手に入れたのかを。ねえ?」