第9章 トム・リドル【秘密の部屋】
「フォークスは普通の鳥じゃない」
ハリーがハッとした表情になった。
「皆で手を繋がなきゃ。アリアネ、君は僕の手に掴まって、ロンはアリアネの手を掴み、ジニー、ロンの手に掴まって。ロックハート先生は」
「君のことだよ」
ロンはボケッとしているロックハートに強い口調で言う。
「先生は、ジニーの空いているほうの手につかまって」
ハリーはベルトに組み分け帽子と剣を挟み、アリアネはハリーの手を握る。
ロンはアリアネのローブの背中のところにつまかると、ハリーはフォークスの羽を掴んだ。
フォークスはふわりと飛んだ。
すると全員の体が以上に軽くなったような気がした時、ヒューと風を切りながら5人はパイプの中を上に向かって飛んだ。
すると下の方でロックハートが叫んでいた。
「すごい!すごい!まるで魔法のようだ!」
「魔法使いのことさえ忘れていたわね、そういえば」
ボソリとアリアネが呟いた。
しばらくして飛行が終わり、5人は『嘆きのマートル』のトイレの床に着地する。
しばらくするとパイプを覆い隠していた手洗い台が元に戻った。
すると、5人が戻ってきたことにマートルが気づくと、ジロリと睨む。
「生きてるの」
「そんなにがっかりした声を出さなくてもいいじゃないか」
「そうよ、マートル」
ハリーはメガネについた血を拭い、アリアネは持っていたハンカチをハリーの腕に巻きつけて止血していた。
「あぁ……わたし、ちょうど考えてたの。もしあんたが死んだら、私のトイレに一緒に住んでもらったら嬉しいって」
マートルが頬を染めた瞬間、アリアネとロンはギョッとした。
「ウヘー!ハリー、マートルは君に熱を上げてるぜ!ジニー、ライバルだ!」
「ロン!」
「いだっ!!」
ロンはアリアネに殴られて、ジニーはボロボロと涙を流していた。
「さあ、どこへ行く?」
殴られた頭を撫でたロンが問いかけると、ハリーは指をさす。
フォークスが廊下を先導していて、5人は急ぎ足でフォークスに従う。
しばらく歩いていれば、5人はマクゴナガルの部屋の前に辿り着いた。
そしてハリーはノックをして、ドアを開いた。
5人が泥まみれのネトネトで、しかもハリーは血だらけで部屋に入れば一瞬だけ沈黙が流れた。
そして叫び声があがる。
「ジニー!」